務のよしなしごと

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「オペラ座の怪人」勝手に解説
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「オペラ座の怪人」第1幕 第9場

2021-08-04 | 趣味

※当ブログのシステム設定により、行途中でのスペースが意図したとおりに表示されないことがあります。英語の台詞や歌詞及び和訳ではおかしな表示が現れることになりますが、ご容赦ください。

(観客の拍手の中で、オペラ「イル・ムート」の序曲が始まり、薄明るくなる舞台の中央にカウチと椅子が運び込まれる。舞台中央前方ではカルロッタ演じる伯爵夫人が、メグやクリスティーンらが演じるメイドや小姓たちに衣服を整えられている。ラウルと支配人及びその夫人たちが5番ボックス席に入る。)
※通常の劇場で上演される場合はカウチではなく天蓋付きのベッドが設置されている。

RAOUL:(ラウル)
Gentlemen, if you would care to take your seats?  We shall be sitting in Box Five.      席を確保したいなら、5番ボックス席にしよう。

ANDRÉ:(アンドレ)Do you really think that’s wise, monsieur?      それは賢いと本当に思っておられるのですか。

RAOUL:(ラウル)
My dear Andre, there would appear to be no seats available, other than Box Five.      アンドレ、5番ボックスの他に席が無さそうなんだ。

(前奏曲に続けて次の曲が演奏されると同時に舞台後方の赤い大きなカーテンが両側に開かれ、いかにも18世紀バロック様式の貴族のサロンを模した背景が現れ「イル・ムート」が始まる。)

※架空のオペラ「イル・ムート」は、カルロッタ演じる伯爵夫人が、クリスティーン演じる若い小姓セラフィーモに女装をさせて自分の部屋に引き入れているという設定で始まる。伯爵夫人はセラフィーモと今で言う不倫をしているのである。それを周囲の者たちは気づいて噂をしていて、年老いた伯爵も薄々気づいている。老伯爵は国の使節としてイギリスに出かけるふりをして夫人の様子を見ようとする。ドン・アティーリオという名の老伯爵役はスティーブン・ジョン・デイビスという俳優が務めている。

(上手の階段から、伯爵夫人の友人と2人の過度に着飾った男たちが下りてくる。記念公演DVDのエンド・クレジットでは、彼らはヘアードレッサーと宝石商となっており、現代の日本で言えばオネエのような雰囲気をしていている。台本では 1ST FOP と 2ND FOP となっているのでここではそれを踏襲する。メグが宝石箱を持って彼らに合流するがセリフなし。※fop とは自分の容姿や服装にとてもこだわる男のこと。)

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CONFIDANTE:(伯爵夫人の友人)
They say that this youth has set my Lady's heart aflame!
この若者(クリスティーン扮するセラフィーモのこと)は夫人のハートを燃え上がらせた

1ST FOP:(オネエ1)
His Lordship, sure, would die of shock!       ご主人はショックで死ぬ

2ND FOP:(オネエ2)
His Lordship is a laughing-stock!       ご主人はお笑い種だ

CONFIDANTE:(伯爵夫人の友人)
Should he suspect her, God protect her!       彼が疑うなら、神様彼女をお守りください(※反意的)

ALL THREE:(3人)
Shame! Shame! Shame! This faithless lady's bound for Hades! Shame! Shame! Shame!
恥ずかしい           この不貞女は地獄行き             恥ずかしい
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(カウチに座っている伯爵夫人が隣に座るメイドに扮した浮気相手のセラフィーモに話しかける。)

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COUNTESS:(伯爵夫人)
Serafimo - your disguise is perfect.       セラフィーモ、あなたの変装は完璧だわ。

(すると、ドアをノックする音が。)

Why who can this be?       あら、誰かしら?

DON ATTILIO:(老伯爵)
Gentle wife, admit your loving husband.       妻よ、お前の愛する夫を(部屋に)入れてくれ。
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(伯爵夫人とセラフィーモは少し慌てる。一方、ボックス席では・・・)

ANDRE:(アンドレ)
Every seat sold!       席は全部売れた!

FIRMIN:(フィルマン)
Hardly a disaster beyond all imagination!       想像を絶する災難なんてあるわけない!

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DON ATTILIO:(老伯爵)
My love - I am called to England on affairs of State, and must leave you with your new maid.
愛する妻よ、私は国の用事でイギリスに召喚されていて、お前を新しいメイドと一緒に残していかなければならない。
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(伯爵夫人はカウチから傍の椅子に座り直し、メイドの衣装を着たセラフィーモは尻を老伯爵に向けて振りながらカウチを掃除する。)

DON ATTILIO:(老伯爵)
Though I'd happily take the maid with me.      このメイドを連れて行きたいのはやまやまだけど。(と言って下品に笑う。)

(伯爵夫人は伯爵の言葉を遮るように)

COUNTESS:(伯爵夫人)
The old fool's leaving!       老いぼれが出発!

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DON ATTILIO:(老伯爵)
I suspect my young bride is untrue to me. I shall not leave, but shall hide over there to observe her!
妻は私を裏切っているのではと思う       出発せずに向こうに隠れて彼女を見張ろう</p>

DON ATTILIO (to COUNTESS):(老伯爵、夫人に)      Addio!       アディオ!

COUNTESS:(伯爵夫人)      Addio!       アディオ!

BOTH (to each other):(互いに)      Addio!      アディオ!
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(老伯爵は夫人の手を取り、甲にキスをしようとする。夫人は急いで手を引きそれをかわす。老伯爵はすごすごと夫人の前から去る。彼が去ったのを見て夫人はセラフィーモの手を引いて舞台中央に出てくる。)

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COUNTESS:(伯爵夫人)
Serafimo – away with this pretence.       セラフィーモ、変装をやめなさい。(と言ってメイドの衣装を取ると男の服装に戻ったセラフィーモが現れる。)
You cannot speak but kiss me in my husband's absence!       声を出してはいけないけど、夫がいない間にキスをしてちょうだい。

(二人は小走りでカウチに向かう。そして扇で顔を隠しながらキスをする。)

COUNTESS:(伯爵夫人)
Poor fool, he makes me laugh! Haha, haha! etc.       かわいそうなお馬鹿さん   私を笑わせてくれるわ
Time I try to get a better better half!       より良い相手を手にする時が来たわ

COUNTESS AND CHORUS:(伯爵夫人とコーラス)
Poor fool, he doesn't know! Hoho, Hoho! Etc.      かわいそうなお馬鹿さん   彼は知らないわ
If he knew the truth, he’d never, ever go!       本当のことを知ったなら、決して行かないだろうに
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(突然怪人の声が舞台と客席に大きく響く。)

PHANTOM'S VOICE:(怪人の声)
Did I not instruct that Box Five was to be kept empty?      5番ボックス席は空けておくように指示したはずだ。

MEG:(メグ、舞台中央に出て叫ぶ)
He's here: The Phantom of the Opera...       彼がここにいるんだわ。オペラ座の怪人だわ。

CHRISTINE:(クリスティーン)
It's him... I know it... it's him…       彼よ。彼だってわかるわ。

(5番ボックス席では支配人たちが舞台の混乱を見て少し慌てる。)

ANDRÉ:(アンドレ、小声で)Calm down.       落ち着いて。

CARLOTTA:(カルロッタ、イラつきをクリスティーンに向ける)
Your part is silent, little toad!       お前にはセリフがないわ、このヒキガエル!

PHANTOM'S VOICE:(怪人の声)
A toad, Madame? Perhaps it is you who are the toad...
ヒキガエルだって?おそらくヒキガエルというのはお前のことだ。

CARLOTTA:(カルロッタ、音楽監督のレイエに)
Maestro, da capo, per piacere.      マエストロ、ダカーポからお願いするわ。
※レイエは舞台と客席の間のオーケストラピットにいることになっている。この記念公演ではオーケストラピットは舞台の後方中二階に相当する高さに設けられているが、「イル・ムート」は劇中劇なのでカルロッタは舞台前方の下を見ながらレイエに声をかける動作をする。

(伯爵夫人の友人が、咳ばらいをして彼女を止めようとするが、伯爵夫人役のカルロッタはそれを無視して続けようとする。)

CARLOTTA:(カルロッタ、伯爵夫人として)
Serafimo, away with this pretence! You cannot speak, but kiss me in my croak!
セラフィーモ、変装をやめなさい。声を出してはいけないけど、夫がいない間にキスを・・・
(と言いかけ演技を続けるががクリスティーンの動作とタイミングが合わない。そして、突然ヒキガエルの声になる。怪人の嘲笑する笑い声が聞こえてくるが、気を取り直して再び歌いだす。)
Poor fool, he makes me laugh - Hahahahaha! Croak croak croak, croak, croak, etc.
かわいそうなお馬鹿さん 私を笑わせてくれるわ・・・ ハハハ・・・ゲロゲロ

(また怪人の笑い声が聞こえ、それでもカルロッタはやり直そうとするが、出てくるのはヒキガエルの声だけになってしまう。)

PIANGI:(ピアンジ、最初は声だけ、そしてカルロッタに駆け寄る。) Maestro! Maestro, no!      マエストロ! マエストロ! やめろ!

PHANTOM'S VOICE:(怪人の声)
Behold! She is singing to bring down the chandelier!       見ろ!彼女の歌でシャンデリアが落ちてくるぞ。

(この時は幸いなことに、なぜかシャンデリアは落ちてはこない。5番ボックス席では舞台や客席の混乱を鎮めようとフィルマンが叫ぶ。)

FIRMIN:(フィルマン)
Ladies and gentlemen, we apologise. The performance will continue in ten minutes' time...
皆さん、申し訳ありません。公演は10分後に再開します。
when the role of the Countess will be sung by Miss Christine Daaé.
伯爵夫人の役はクリスティーン・ダーエにさせます。(と言ってクリスティーンに早く舞台を降りて支度をするよう手で合図する。)

(アンドレが上手側階段を慌てて下りて来る。)

ANDRE:(アンドレ、その場しのぎを口にする)
Ladies and gentlemen! Oh. In the meantime, ladies and gentlemen, we shall be giving you the ballet from Act Three of tonight's opera.
皆さん。間もなく今夜のオペラ…第3幕から…バレーをお届けします。
Maestro, bring the ballet forward. The ballet, now!       マエストロ、バレーを進めたまえ・・・ バレーだ。すぐにだ。

(音楽が始まり、バレリーナが10人ほど出てきて、森の中の空き地を模した背景の中で妖精の役を演じて踊り出す。アンドレはバレリーナたちにぶつかりながら舞台から去る。バレリーノも数人加わり踊りが続く。バレリーノのうちの一人だけがバレリーナたちと一緒に踊るが、バレーの最中に起きる恐ろしい光景を最初に目撃することになる。)

※音楽と踊りは1分半ほど続き、ちょっとした見ものである。全体としてモーツアルト風の旋律が続き、途中数小節チャイコフスキーのような旋律も入る。バレー全体は大人数で踊っているので、動作のばらつきが見られるが、たった2日間の特別公演のために練習時間を多く取ることができなかったのだと推察できる。しかし、個々のダンサーはさすがプロだけあり、見事な踊りを披露している。

(バレーの途中で、舞台天井の渡り通路を上手から下手へ、下手から上手へと大道具主任のブケが行ったり来たりする。通路の中央付近で何か作業をしている最中、下手から怪人が近づき、ブケの首にロープを掛ける。ブケは思わずうめき声をあげ逃れようともがく。バレリーノがそれに気づいて上を見上げ、指差すが、他は誰も気づかずバレーが続く。と、突然ブケが首をくくられた状態で天井通路からロープで吊り落される。ようやくダンサーたちもそれに気づいて大きな悲鳴を上げ舞台から逃げ出す。怪人の笑い声だけが大きく会場を覆い、フィルマンが上手にある階段から客席に向かって叫ぶ。)

FIRMIN:(フィルマン)
Ladies and gentlemen, please remain in your seats. Do not panic. It was an accident... simply an accident...
皆さん、席を立たないでください。パニックにならないように。事故なんです…単なる事故です。

(舞台が暗くなり第9場が終了。暗い中で背景が素早く替えられ第10場へと続く。)

※通常の舞台公演では、カルロッタがヒキガエルの声しか出なくなってからフィルマンが観客に単なる事故だと叫ぶ間にカルロッタが続行不能だと言ったり、クリスティーンとラウルが言葉を交わしたりする場面があるが、記念公演では省略されている。また、第9場の終了で舞台が暗くなるのとほぼ同時に、声だけでラウルとクリスティーンがオペラ座の屋根の上へと逃げようとする以下のセリフもあるが、これも省略されている。

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RAOUL: Christine, come with me.
CHRISTINE: We must go to the roof. We’ll be safe there.



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