原題はDarkest Hour、私はこちらの方がしっくりきます。
いや~、面白かった。映画としてのたるみがありません。チャーチルの目から見た外の世界を写すカメラが素晴らしい。
話題のメークは、私はあまりチャーチルという人を知らないので少々???ではありました。しかし、クレジットで
ミスター・オールドマンのメイキャップ、ツジ・・・・と一枚看板で出るところがすごいなあとは思いました。以前英国王のスピーチなどにもチャーチルは出てくるのですが、あまり似てなくて、だから余計すごいと思うかもしれません。
常に葉巻と酒のグラスを持っている人、前首相が罷免された日からわずか1か月足らずのチャーチルの生活・行動・言動が主題です。
案外チャーチルという人は気の小さな人だったのではないかな?と思います。私生活では奥さんに叱られてついつい奥さんのご機嫌取りをしてしまう普通の男です。
そして面白かったのは首相の任命を国王から受けるシーン。国王の2,3メートル前に控えた彼に国王(英国王のスピーチで描かれたあの国王です)は「ミスター・チャーチル、あなたを首相に任命する」と言ってさっと右手を差し出します。すると新首相は前に進み出て恭しくその右手の甲にキスをします。すると国王は右手を後ろに回し礼装の背中でキスされた手の甲を拭くのです。
それはそういうことをするのが礼儀なのか作法なのか、あるいは潔癖症なのか、ちょっと笑えるシーンではあります。
しかし、演説はうまい!ヒトラーとは違うタイプのうまさです。わざわざ地下鉄に乗って、ロンドンの市民の考えを直に聞いた彼は、自分の考えが間違っていないのを確信し、議会に向かいます。
この映画はダンケルクと英国王のスピーチを予め見ておくとより楽しめると思います。