あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

悲喜交々

2011-02-22 | 本(文庫本)
荻原浩さんの『さよなら、そしてこんにちは』を読みました。表題作を含めた7作品を収めた短編集です。

荻原さんの小説はできるだけたくさん読みたいと思っていますが、とくにこの文庫は帯にあったコピーにまず惹かれました。
「美しくなくとも 情けなくても みっともなくても みんな頑張っている!」
私が荻原さんの作品が好きな理由は、このコピーにすべて表されていました。
全然カッコ良くなくても、みんな頑張ってんだよね。そして大きくなくても「幸せ」な気持ちになったり真実が見えたりして、明日が見えてくるものなんだな~って、読みながらニッコリできる。荻原さんは、読書することが嬉しくなる、そういう作品を読ませてくれる作家さんだと思います。

私をニッコリさせてくれた人たちは、
もうすぐ女の子のパパになる葬儀屋さん(表題作「さよなら、そしてこんにちは」)
TV番組でとりあげられる「食材」に翻弄されるスーパーの係長(「スーパーマンの憂鬱」)
若い奥さんと3歳の娘のためにクリスマスの準備をするお坊さん(「長福寺のメリークリスマス」)
とくに「スーパーマンの憂鬱」の係長が、最後にやけくそ気味に、反抗期を迎えた娘の真似をしてお尻を振りつつ「やだやだやだやだやだやだやだやだ」と踊るシーンには何とも言えないおかしさとかやるせなさとか、いろんな「生きている人」が持つ感情に満たされました。確かに私もやけくそ気味のときは、意味不明で他から見ると滑稽でしかないことを無意識のうちにしていたりしますからねぇ~。

どの作品に出てくる人たちも愛おしくてたまらなくなる、そんな1冊でした。「最近ちょっとお疲れなの…」って人にはオススメです。読んでいるうちに元気になれるはずですよ。
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