あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

さよなら・サヨナラ

2010-09-21 | 本(文庫本)
荻原浩強化月間2冊目。『さよならバースディ』を読みました。

ますは覚書としてあらすじ。
多摩方面の山間部にある霊長類研究センター。ここでは猿のボノボに言語を覚えさせることに成功しつつあった。ボノボの名前は「バースディ」。プロジェクトの創始者・安達助教授は一年前に自殺したが、助手の田中真と大学院生の由紀が研究を継ぎ、バースディは真の質問に専用のキーボードを使って簡単な「会話」ができるまでになった。
真が由紀にプロポーズをした夜、由紀は研究センターの窓から身を投げる。真はその現場を目撃したバースディから真相を聞き出そうとするが…。

「研究者が実験をしている研究センター」なんて、ほとんどの人にとって関わりのない世界で起きた“事故”と“事件”。なぜ1年前に安達は自殺をし、由紀も亡くなってしまったのか。
…と、この物語はミステリーになるはずでした。確かに途中まではミステリーな雰囲気でしたが、やがて「?」と感じ始め、最後は「あ~、違った~」となってしまいました。ラブストーリーでした。とくに後半のバースディと最後の会話を試みるシーンは、漫画でも映画でも何でも、ラブストーリーが苦手な私は、ともするとシラけてしまいそうになるところでした。
でも、最先端の研究をしている研究者が、人がずっと以前から持っている感情、愛する人を思う気持ちを「これでもかっ!」ってくらいにほとばしらせているところを冷静に読むと、荻原さんが表現したかったことはここなんじゃなかったのかと思えるようになりました。
結局ね、ハイテクだとか最先端だとか言っても、人の感情、動物にも伝わる気持ち、そんな大事なものを「なくしちゃダメだよ」って言われているような、そんな作品だったのかもしれません。

唇をチューリップの形にして気持ちを表現しているバースディが、たくさんの人に利用され、挙句、由紀に酷い利用のされ方をしたと思うと、やっぱり許せないな~。う~ん…。
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