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とみしゅう日記

実録:2005年10月1日(その2)

何につけ、約束事というものは存在する。
特に結婚式は約束事の宝庫だ。
応用はあるにせよ、基本は大きく変わらない。

10月1日。挙式当日。
もはや残暑うんぬんを言える時期ではないはずなのに、“伊勢さん”の車から降りた僕らを強烈な日差しが襲う。
ネクタイが与える窮屈さか、はたまた夜の二次会を不安に思う心ゆえか、ふと足下におぼつかなさを覚える。

式場のロビーには、大勢の招待客がごった返していた。
軽い緊張と、柔らかな喜びとが入り交じる空気。
これも約束事のひとつと言えるかもしれない。
いつもの見知った顔と共に、その時を待つ僕たち。

思いのほか長い時間を待つこととなり、ひさしぶりに“みねさん”とあれこれ話をした。
大学時代の先輩であり、僕らの憩いの場“呑喰処 紋次”の看板息子でもある“みねさん”。
その仕事柄、土日にお会いできる機会もほとんどなかった。

すでに一児のパパでもある“みねさん”は、「できればもう一度結婚式をしてみたい」と言っていた。
もちろん不倫願望ではなく、今の奥様と、ですよ。
穏やかな日常に満足しつつも、その一方で「ハレの舞台」に憧れる。
その気持ちはとても健全なものだと思う。

僕は独身だから、“みねさん”が語る結婚・育児生活については「なるほど、そういうものですか」と推測混じりに納得するしかない。
いろんな立場の人間が、いろんな思いでチャペルの空間を埋めていく。
そうやってできあがっていく一枚の絵は、もちろん最後の一筆を新郎新婦が取って完成させることになる。

結婚式の約束事その2。外国人の神父が語る、片言の宣誓。
これには、いまだに慣れることができない。
前方で神妙に立つ新郎新婦の姿に感動を覚えつつ、「アイトハ、イツクシミアイ~」というカタカナ発音が、緊張感を確実に削ぎ取っていく。
“もん☆ます”さんが入れる的確なツッコミが、僕の腹筋を細かく痙攣させる。
静粛な場面には、一皮剥けば大爆笑必至の絵が隠されている。
ごめんね、“こんこん”&“けぺ”。
君たちに罪はない。

結婚式の約束事その3。ライスシャワー。
これにはいろいろな発展形があると思うのだが、過去多かったのはフラワーシャワー。
そして今回は、フェザー(羽根)シャワーだった。
柔らかく舞い降りる羽根の中を歩く二人。
確かにロマンチックだ。
ただし、羽根は花びらよりも風に弱く、人の手のひらから容易にこぼれる。
要約すると、いろんな意味で微笑ましい場面が多く訪れるということだ。

チャペルを前にした写真撮影の時間。
室内が撮影禁止だっただけに、みなここぞとばかりにシャッターを押している。
新郎はいつもより固い表情を浮かべ、新婦はいつにもまして美しい。
これも結婚式の約束事と数えていいだろう。
“けぺ”がスカートのたぐいを着ているところを、ほとんど見たことがない。
おそらく、その美しさを新郎以外に見せたくなかったのだろう。

さあ、もうすぐ披露宴だ。

<その3へつづく>
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