飽きっぽい僕がクリアした数少ないゲームのひとつ。
それが“ギフトピア”。
大人になるために、島の住人たちの悩み事を解決していく、一風変わったRPG。
たぶんあまり売れなかったと思うけれど、大好きなゲームのひとつだ。
その“ギフトピア”を作った会社が、新しいゲームを作った。
ゲーム雑誌やインターネットで、その新作についての情報をいろいろ知った。
今度も、変なゲームになりそうだ。
そんな嬉しい予感があった。
案の定、“ちびロボ!”は変なゲームだ。
そして、楽しいゲームだ。
身長10センチの小さなロボットが主人公。
お尻には、充電用の電源プラグがぶら下がっている。
言葉を喋ることはできないけれど、その代わり“ジャーマネ”のトンピーはよく喋る。
床に落ちているゴミを拾い、汚れが付いていたらブラシ(歯ブラシ)で落とす。
頭につけたプロペラで、ちょっとしたホバリングができる。
レーザーガンを使って、邪魔者を倒すことだってできる。
花の種を花壇に植えて、生えてきた花をママにプレゼントする。
カエルの着ぐるみを着て、ジェニーとお喋りする。
パパにかわいがられ、犬のタオにはちょっぴり嫌われて、
小さなロボット“ちびロボ”は、みんなをハッピーにするために頑張る。
ゲームである以上、最終目的は一応示されている。
経験値代わりのハッピーポイントもあるし、同様に溜まるお金を使って、便利なアイテムを買うこともできる。
ゲームとしての枠組みはきちんと作られているけれども、物語のスケールは小さい。
でも、その小ささが、かえって僕を安心させる。
パパはちっとも働かないぐうたらだけれども、家族のことを愛している。
ジェニーはカエルの格好をして、「ケロケロ」としか喋らない。
でも、パパとママが喧嘩をすると悲しそうな顔をする。
タオは、おもちゃたちから嫌われている、いたずら好きの犬。
でも、悪いやつじゃない、きっと。
床の汚れを落とし、ゴミをゴミ箱に捨てる。
溜まるハッピーポイントは小さいけれども、時々ママが褒めてくれる。
庭で干からびそうなカエルに、水をあげる。
嬉しそうに草むらに戻っていくカエルを見て、思わず笑顔になる。
ちびロボは笑いもしない、怒りもしない。
ロボットだから、表情がない。
でも、頭のてっぺんから出る○や×で意思表示ができる。
サンダースン一家のハッピーのために健気に頑張る、ちびロボ。
その愛らしい姿を見るだけでも、遊んでよかったと思える。
書き下ろしの大長編小説も面白いけれど、
その10分の1くらしかない短編小説にも、違った面白さがある。
大河ドラマと、15秒のCM。
どちらが優れた映像作品か、簡単には片付けられまい。
小さなロボットの、小さな物語。
落ちてきたタライで目を回しながら、今日も“ちびロボ”はあくせく働くのだ。