写真1 全体象
患者さんの申告内容
アームが動かない。
初診
写真2 治療対象の名称
申告とおりバケットアームから先が動作せず、ブラブラ状態です。
内部リンクが破損している事が想像できます。
他の動作は正常に動いていることを確認できました。
検査
病巣① メインブーム締結ボスの折れ
写真3 ボス折れ
折れているためメインブームを締め付けるネジが利かなくなっています。
病巣② リンクピンの折れ
写真4 リンクピンの折れ
メインブームからの力を伝えるためのピンが折れてしまっているので
バケットアームへ力が伝わりません。この病巣が今回の原発巣です。
病巣③ リンクのひび割れ
写真5 リンクのひび割れ
将来的に破損が起きると思われるので予防保全処置をします。
治療
治療① メインブーム締結ボスの折れ
写真6 ボス折れの治療
メインブームの左右をネジで締結するボスなので、ネジの回転力に耐えるだけの
強度が必要です。接着では強度が不足するのでボスの根元と破損した部位を
アルミ板で巻いてネジで共締めして強度を出します。
治療② リンクピンの折れ
写真7 折れたピンを再生
接着強度を出すために、Φ3mmのスチール棒をΦ5mmの樹脂パイプを通し
接着剤で固定しました。
治療③ リンクのひび割れ
写真8 リンクのひび割れの治療
L字のリンクにひび割れがあり、将来的に破損すると思われるので予防保全処置で
アルミ板と共締めします。
治療④ 摺動部の摩擦抵抗の低減
リンクが接する箇所にシリコングリスを塗布して摩擦抵抗を低減しました。
治療結果
元気になりました。
治療後記
ショベルカーのアームの動きは、男の子には魅力的なもので人気のおもちゃです。
歯車、カム、リンク機構でアームの動きをさせているので、リンク構造も複雑で
軽量化のためリンクの剛性は高くありません。
モータで動かしている分にはよいですが、手で動かしてしまうとリンクに負荷が
掛かって破損につながります。
本当は、バケットで土を掘れるともっとうれしいのですが、思いと現実のギャップに
ついつい手が動いてしまうんですね。(*^_^*)