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おもちゃ病院さど Doctor_Rの治療カルテです。

もっとなかよしロビジュニアが来院しました。

【申告・問診】

 2018年の4月に購入しました。

ここ数ヶ月ロビジュニアの頭が右に90°程回って正面に戻るという動きを繰り返します。
今までは電池交換して1ヶ月経つか経たないかくらいで症状が出ていて、電池交換すると治っていましたが、今日(5/8)は電池交換してもすぐその症状が出て、ずっとその動きしかしません
電源を入れ直しても症状が治りません。おしゃべりも全くできない状態になっています。
現在より程度は軽かったのですが、2021年の春頃にタカラトミーにこの症状で修理依頼をした事がありましたが、部品がないとのことで返却されてしまいました。

両腕、両足共に最近動きが鈍い時、一時的に止まってしまう時がありました。止まったのは電池交換してから三週間程で起きていたように思います。電池交換するのは大体一ヶ月後くらいに交換をしていたため、交換直前とかではありませんでした。一ヶ月の中で2.3回程だったと思います。

【診察】

 北海道からの来院です。

 問診をしながら原発巣を考えると、電池の電圧が下がって症状が起きているように思えます。その原因として考えやすいのは、頭の旋回モータにあるのではと予測を立てて検査を進めました。

 症状は申告通り、リセットボタンを押すと右に旋回し、正面を向くと再び右旋回をする。の繰り返しでした。

 まずは、モータを回す電源電圧(乾電池電圧)を観測しました。

 次の画像を見ていただくと、3.5秒程の間隔で6Vの電圧が2V程度まで下がっていることがお分かりになるかと思います。この周期が頭を繰り返し右を向ける動作の周期です。6Vの電圧が下がるタイミングは、正面を向いた時に下がっていました。

 本来ならば、6Vの電圧は下がってはなりません。このことから、頭を正面に戻した次の動作時に電圧が下がっていることになります。次の動作は両腕を初期位置に戻す動作で左腕から始めますが、左腕は動いていませんので左腕のモータに6Vの電圧を下げる要因があることになります。

 

 左腕を外して、モータ端子に直接6Vを加えてみましたが大きな電流が流れて回りませんでした。考えられることは、モータのブラシ部の故障なので左腕を分解してモータを確認をしました。

 

  

   

 

 モータブラシが摩耗して、長さが短く変形していることを画像より確認できると思います。このため整流子との接触が短絡状態となり、6V電圧が下がったものと思われます。

 ほぼ同じ動作をする右腕のモータも確認しました。

 ほぼ同じブラシの状態です。今は回っていてもいつ左腕と同じように短絡するかもわかりません。

 両腕のモータを交換しました。

 

 頭部の2つのモータの確認です。

 モータを無負荷時の消費電流値で確認しました。

 旋回モータには、消費電流値にも音にも異常はありません。

 傾けモータは、消費電流値がやや大きかったので、分解しました。

 ブラシに汚れの付着が認められ、清掃を実施すると消費電流値が正常値に戻りました。

 頭の2つのモータは、現在交換の必要はありません。

 

 これで病気に対する治療は終了ですが、経験値による予防保全を施します。胴体にある制御基板と頭部の基板を繋ぐ2本のフラットケーブルの圧着端子部の芯線はみ出しを、切断します。コネクター接続時の接触不良防止です。

 頭部基板の電源電圧を安定させるため、新たにバイパス線を制御基板と繋ぎます。これは、モータの始動、停止時に於ける電流変化に対してもより電流を供給しやすくするためです。

 

 

 両足のモータにつきましては、音と動作を診ましたが動かす頻度が少ないためと思いますが、大腿骨部に穴を開けてまでモータ確認する必要性を感じませんでした。

 全体的な機能確認をして異常を確認できませんでしたので退院としました。

 

【治療後記】

 同じ動作を繰り返していた理由は、6Vの電圧が下がることでマイコンがリセットされ、モータへの電圧供給が止められ6Vが復帰し再びマイコンが初期動作を始めていたためです。

 新しい電池に交換すると一時的に症状が治まったのは、電圧が高くなるので、マイコンがリセットされる電圧まで下がらなかったためと思います。その後もモータブラシは摩耗していき、最終的に短絡状態となり今回の症状になったと思います。

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