コロナウイルスの名前の由来は何か。それは、太陽から飛び出す火炎状のコロナである。では、武漢コロナウイルスの発生の由来はどこか。それは、中国武漢付近でしょう・・中国であることは疑いない、そう思われている。
ところが、アメリカ発生説があるとのことである。趙立堅という中国外交部の報道官が、根拠もないままアメリカに対し、「感染者が出たのはいつか、診療した病院はどこか、患者は何人いたのか、中国に持ち込んだのはいつか、データを公開せよ、説明責任を果たせ」などと主張したらしい。中国に向けられた要求を、そのまま打ち返した内容である。イタリア発生説や、日本発生説まであるらしい。この厚顔無恥には呆れるばかりである。しかし、呆れてばかりいてはならない。学ぶべきである。
21世紀においては、「紛争の解決に暴力は避けるべき」は世界の共通認識であり、暴力を行使した側は悪者になる。しかし、暴力が悪者にされた分、暴力以外の攻撃がより悪辣となった。「余りの悪口は暴力で反撃されるので控える」という制御機構が働かなくなったのである。責め立てて相手が折れればこちらの勝ちである。相手が感情的になって暴力をふるえば、その暴力行為を責め立てて相手を悪者にすればいい。だから、どちらでも勝てる。
責め立てる理由はでっち上げ・嘘話(Fake)でも何でもいい。いや、Fakeの方が話は面白おかしくできるし、相手はその内容にいっそう感情を乱す。聞いている者も、喧嘩は派手なのを好むし、うわさ話は奇想天外の方が話題にしやすい。二次・三次情報となるうちに、お話は変貌し熟成し、長い間に歴史の真実にされてしまう。Historyとは、事象をお話(Story)に、それも自分に都合の良いお話にしてしまう作業でもある。
嘘を言い続けたら本当になるなんて・・・、いくらなんでもそんなことはないと思う人もいるだろう。それなら、従軍慰安婦や南京虐殺などのBig Fakeを思い出してほしい。何もないところから、あれだけの虚構が作り上げられ、人道的な民族である日本がもっとも非人道的であるかのような汚名を着せられ、そのうえ途方もない額の示談金を国際支援という美名で巻き上げられたのである。竹島、尖閣諸島、琉球列島、南沙諸島などの領有権主張も、すべて虚構の上に成り立っている。
これほどに痛い経験をしながら、いまだに「嘘をつくな」という道徳律を隣人が守ると信じているとしたら、お人好しというより、単なる間抜け、阿呆である。「嘘をつくな」は、相手を倫理的に責める手段として効き目がある。この有効な責め道具を、わざわざ自分に使うバカはいない。「嘘をつくな、は相手にだけ要求せよ」と学ぶべきである。
今回の由来論争は、「相手の責め言葉に窮したら、同じセリフを使って責め返せ」という学びである。