危険物の第2号
「金、女、酒」で躓くのは自業自得の側面がある。しかし、そうでない危険物もある。災害、病気、事故、犯罪被害などだ。これらは、過去の事例や経験、科学的な証拠などから、ある程度は回避が可能だろう。地震対策、病気対策、事故対策、防犯対策などだ。これらの回避の努力を怠って危険に遭えば、自業自得ともいえる。とはいえ、対策しようもない部分も大きい。
この中で特に避けるべきは、原因に人為的要素が大きく、かつ心身に深刻な傷を残す事態だろう。具体的には、重大な犯罪や事故の行為者や被害者となることだ。特に被害者の場合は、大きな不幸に見舞われる。心すべきは、自分の落ち度や不用意な態度が事故や犯罪を誘発することもある点だ。完全な回避はできなくても、その危険性に常に構えることは可能だろう。
危険を避ける手段には、助言傾聴、情報収集、近似経験などがある。殆どの危険は青天の霹靂には来ない。振り返ってみれば、助言や予想があった(だから、回避できる)。但し、老婆心的な余計なお世話、社交辞令的な意味のない警告、中には助言の体をした嫌がらせもある。それでも、信頼できる筋からの助言は、言い方は弱めでも重く受け止めるべきだ。誠実な助言は思い付きではできない。
助言が向こうからの情報提供とすれば、情報収集はこちらからの動きだ。不案内な旅行先の治安状況を確認するなどが例だろう。他人の経験談を参考にするのも有効だ。最も効果的なのは、近似体験(ニアミス)かもしれない。ヒヤリとした実体験を通せば、危険探知力は身に着く。中には鈍感(もしくは剛毅)な人もいて、危険を知りつつ果敢な行動をとる人もいる。その真似はしない方がいい。
最後にやや逆説的な危険として、「小事に気を取られ大事を失う」危険を挙げる。卑近な例では、少額の値引きにつられて不要な高額商品を買うとか、僅かな手数料をケチって良い品を見逃すことだ。つまり、小さな利得や損失に気を取られ、より大きな利益を失することだ。危険回避ばかりに目が行くと、重大な危険に気づかないとか、好機を見逃すという危険を冒すことになる(続く)。