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支流からの眺め

最近の気になる情勢(12) 政治家の気概

 米大統領は予想通りトランプ氏が再選された。選挙人数だけでなく国民の投票数でも圧倒的な優位で、米国民の意思は間違いなくトランプ支持だ。しかし、氏への批判(民主主義を破壊するなど)に加え、ハリス氏の準備不足でトランプ氏が選ばれてしまったというような発言がまだ国内で続いている。

 多様な意見は結構だし、好き嫌いがあるのは仕方ない。しかし事後分析では、ほとんどの年齢・性別・人種・学歴・居住地でトランプ支持者が増えていた。現地の特派員は生の一次情報を取らず(取れず?)、専門家は仲良しのリベラル勢力だけが情報源だ。日本のメディア情報の信頼度は地に落ちた。

 国の歴史や人々の意識は日米で全く異なる。米国は移民が作り上げた国だ。多様性や自由をできるだけ認めようとし、排他性や拘束的な制度を嫌う。銃を持つのも、国が官憲の力で圧制を敷いた時に国民が抵抗するためだ。16世紀に武装農民が刀狩を受け入れた日本とは(良し悪しは別に)異なる。

 大統領には大きな権限が与えられ、大胆な政策転換が期待される。但し、議会との協調は要求され、任期も4年が2期までであり、権力の座に居座り続けられない制度設計になっている。片や日本は、そのような権力の集中や過激な変化を(良し悪しは別に)可としていない。

 米国民は世界一を目指し、能力のある人の活躍を許す(出る杭を打たない)。この国民性が、顰蹙や嫌悪を買いながらも、暗殺や訴訟を克服した超人的な気概を持つ大統領を生んだ。米国の多方面での国際的な優位性を維持しているのもこの気概だ。(良し悪しは別に)宥和を求める日本人とは異なる。

 その日本では石破氏が首相継続となった。日本の政治は元々が話し合いの政治だ。そこに与党優位が崩れたのだから、「話し合い政治」が更に深まることになる。この意思を欠く脆弱な政治形態では、連合の組み方如何では、戦前の政治のように政治が国民の望まない方向に一気に傾く危険がある。

 驚いたのは、石破氏が予算委員会と憲法審査会の議長の座を立民に渡したことだ。予算と国体という最も重要な政治課題で譲歩すれば、国政が学者や官僚の言いなりになる。石破は政治家の矜持を捨て口先政治で延命だけに走るのか。気概について、トランプ氏の爪の垢を煎じて飲むべきだ。

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