ありがとう ご縁の旅

HSPです。
アメリカでの生活や健康対策、詩、エッセイなど
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コクワガタのクワちゃん

2020-09-18 09:08:00 | エッセイ

ガレージの整頓をしていると物陰から埃をかぶった虫かごがひょっこり。

2年前まではクワガタやカブトムシを入れて毎年使っていた虫かご。

息子の成長と共に使わなくなり埃をかぶったままでした。

 ”11/8は、クワちゃんの誕生日” 。と、飼った日でも産まれた日でもないその日息子が思いつきでクワガタの誕生日と決め冷蔵庫に貼ってある用紙日付を書き留めたこと懐かしく感じられます。

コクワガタのクワちゃん。

お世話係は、気が付けば私になっていました。

 

餌のゼリーはまだあるかな?

葉っぱは乾燥していないかな?

ひっくり返ったままじゃないかな?

いろいろ気になって、

毎日様子を見ていると愛着が湧いてきます。

特に餌のゼリーを食べている様子が可愛く癒されるひと時でした。

決まって食後は、ゼリー容器に葉っぱが覆いかぶさっている

隠すように置いてある葉っぱが1枚の時もあれば、2枚3枚と重ねてある時もありました。

餌がなくなるなるとねだるように、カサカサ葉っぱの音を出し容器越しにつぶらな目を光らせてこちらを見つめていました。新しいゼリーと交換するときは、太い枝の下にある巣穴へスーッと忍者のように消えていきます。

 秋が深まると動きに餌の減り方も遅くなり、巣穴から出てこくなりました。

ネットで調べると冬眠するとあり様子をみることにしました。

餌は念のため乾燥すれば交換し時には葉っぱを湿らせお世話を続け冬を越しました。

死んじゃったかな?

娘が春先に心配そうに声を掛けて、私も気になったまま過ごしました。

真冬の頃はゼリーを食べた跡も全くなくなっていました。

3月の終わりに思い切って虫かごの蓋を開け、クワちゃんの住処の木をそっと持ち上げてみました。

小さく固まったようにクワちゃんが、じっとしています。

春だよ。と声を掛けながら少し触れてみると手足が動き、

 ”生きてる、生きてるよーーー!”

家族のだれよりも喜んだ私。

娘も嬉しそうに横で微笑み、息子は少しだけ様子を覗き込み、

”良かったぁ、冬を越せたんだね。”

1つの小さな命を一緒に感じた瞬間でした。

 それから、クワちゃんは2回目の誕生日を迎えようとしていた秋。

また冬眠するのかな?そう考えていた頃、クワちゃんが頻繁にひっくり返るようになり、ひっくり返っては元に戻すを繰り返し始め、ある日ゼリーに顔を近づけ数日そのままでした。

私が覗いても葉っぱで容器を隠すこともせずそのままの状態に私は慌ててクワちゃんをそっと持ち上げてみると少しだけ手足が動いて。

良かった。冬眠に備えて沢山食べたいだけなのかな。

そう思い、容器のそばへ戻しました。

 翌朝、クワちゃんはひっくり返ったまま元に戻しても手足を動かすことはなく.....。

沢山の気づきや感動をありがとうと子供たちと一緒に庭に穴を掘り、お別れをしました。

昆虫のお世話をしたのは人生で初めての経験でした。

移ろいゆく景色、儚い命に思い出されるワンシーンが心に浮かび、埃をかぶった虫かごを拭い棚へ戻した昼下がりでした。