その本屋は商店街から少し横道に入ったところにありました
何気なくみると子供の頃にみたビールのポスターが目に入りました
懐かしさもありその本屋に入りました
人気の無い店内
古本屋でした
古い雑誌が乱雑に詰まれいて
大きな棚には何度読んでも理解できなかった
岩波文庫の「資本論」が全巻揃って並んでいました
何を見たいわけではないので
積んである古い雑誌を手に取ってページをめくると
どこか懐かしい風景写真が
田舎のみかん畑のある山のような。。、
店主というのか店員というのか
とにかく人気がない中で雑誌の写真を眺めていると
「なにかお探しですか?」と声をかけられて
ちょっとどきっとして振り返る
そこには初老の女性が
「探しているわけではないのですが、
○○があれば手に入れたと思ってはいます」
というと
「○○ねー、以前はいっぱいあったんだけどね、探せばあるかな」と
「そうですか」と
「探しておきますから、またきて下さい」と言われ
何気なくお礼を言って店を出ました
それから十日後にその商店街へ行き
その本屋へ
この立ち飲み屋の角を曲がって
あら???
ない
そこには古いコンクリートの塀があるだけ
もう一度商店街に戻って
前後の角を曲がってみましたが
ない
諦めきれず
豆腐屋で古本屋のことを聞くと
「以前その飲み屋のとこを曲がったとこにあったよ」
「もう40年ぐらい前に店主が亡くなって閉めたんだよね」
え?。。。。
その本屋の門構えとか女主人の姿を話すと
豆腐屋の主人は
うんうん、そうだったと、懐かしそうに
一体どうなっているんだか。。。
そこに十日前に行ったとは言えませんでした