【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

弥生会計の勘定科目を設定する(弥生会計13)

2013-07-26 17:00:00 | 会計ソフト(弥生会計)
勘定科目の設定とは、「勘定科目を新設する」「既存の勘定科目の名称を変更する」「特定の勘定科目に補助科目を設定する」「勘定科目を削除する」「勘定科目の配列を変える」などをいいます。

勘定科目は試算表と決算書で異なる名称にすることが可能ですが一般的には統一します。試算表の科目設定は「設定」「科目設定」で行いますが、決算書の科目設定は「決算・申告」「決算書設定」「決算書項目設定」で行います。

弥生会計の勘定科目の初期設定は会社法や税法が認める方法に従っていますので、勘定科目の名称や配列を大幅に変更する必要はありません。しかし、下記については追加で設定しておく必要があります。

■預金に銀行ごとの補助科目を設定する
預金は銀行別・預金種類別、つまり通帳ごとに管理することが一般的ですので、弥生会計においても各種の預金(普通・当座・定期など)を通帳ごとに分けて補助科目を設定します。なお、この補助科目は帳簿(補助元帳)において分割されているだけであって、試算表や決算書での表示は預金種類単位で行います。

■借入金(長期・短期)に補助科目を設定する
借入金も預金と同じです。銀行ごと、返済予定表ごとに補助科目(補助元帳)を設定します。試算表や決算書での表示は借入金総額で行われます。

■預り金に補助科目を設定する
従業員の給料や賞与から「源泉所得税」「住民税特別徴収」「社会保険料」「労働保険料」を天引きした額を預り金勘定に計上しますが、これも補助科目(補助元帳)を設定しておくと便利です。

■売上を分類する
複数の事業を営んでいる場合には売上をそれに合わせて分類するとよいでしょう。

■経費(販売管理費)に関する勘定科目を新設する
初期設定の勘定科目では物足りない場合には新設してください。「業界独自の経費」「ネット取引に関する出費」、既存の勘定科目には見当たりません。

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★不要な勘定科目は削除したほうがよいのか?
必要な科目まで削除してしまうかもしれません、将来使うかもしれませんので削除しないほうが無難です。なお、使用していない勘定科目は試算表では表示されませんし、総勘定元帳も印刷されませんので邪魔にはなりません。

★勘定科目の名称を抜本的に変える
試算表も決算書も第三者(税務署や金融機関など)に見せることを前提としていますので、第三者が理解できないような名称は避けるべきです。

弥生会計の便利な機能(弥生会計13)

2013-07-24 17:00:00 | 会計ソフト(弥生会計)
●前年のデータを参考にしたい
「ファイル」「年度切り替え」で前年に戻れます。前年のデータを参考にしたいことがよくあります。弥生会計は当期を含む3期分をひとつのファイルで取り扱いますので前々年まで戻れます。

●データのバックアップをする
「ファイル」「バックアップ」でできます。これを実行していない人、あるいは知らない人が意外に多いです。使用しているパソコンの故障に備えて、必ずUSBメモリなどの外部記憶メディアにバックアップしてください。

●社名を変更した
「設定」「事業所設定」の「事業所情報・事業所名」で変更できます。年度途中でもできます。

●データファイルが保存されている場所を確認する
「設定」「事業所設定」の「事業所データ情報・フォルダー名」で確認できます。参考までに知っておく必要があります。

●西暦表示に切り替えたい
「設定」「事業所設定」の「会計年度・月度の表示設定」で切り替えることができます。初期設定は和暦です。税務申告書は和暦ですが、決算書は西暦でもかまいません。

●確定した特定の日までの数値を変更できないようにしたい
「設定」「帳簿・伝票設定」の「入力制限」でできます。非常に重要なことです。弥生会計はデータの事後変更が容易に行えます(誤操作で変更されてしまいます)。

●起動時のパスワードを設定したい
「ツール」「ユーザー管理」の「パスワードの変更」でできます。パソコンを共有している場合は必須です。

●文字や数字のサイズを変更したい
「オプション」「環境設定」の「表示」でできます。

●自動的にバックアップファイルを作成する(初期設定ではON)
「オプション」「環境設定」「起動・終了」の「終了時の設定」で、終了時にバックアップファイルを自動作成する設定とバックアップファイルの保存場所の設定ができます。

●その日に入力したデータだけを見直したい
「帳簿・伝票」で「仕訳日記帳」を表示し、画面上部の「当日入力仕訳のみ表示」をチェックします。なお、この機能は総勘定元帳や現金出納帳などの帳簿にもあります。

パソコンの画面で試算表の中身を見る【弥生会計13の場合】

2013-07-22 17:00:00 | 会計ソフト(弥生会計)
経理数値を検討する場合の基本は試算表です。試算表にはすべての勘定科目が集約されているからです。

試算表は毎月作成し保存しなければなりません。会計ソフトで作成している場合も紙に印刷して保存しますが、試算表を検討するのは紙よりもパソコンの画面のほうがはるかに便利です。パソコンの画面の試算表からであれば、クリックひとつで総勘定元帳や補助科目を表示させることができるからです。

以下、弥生会計13で試算表を表示させ、試算表から総勘定元帳へ移動したり、補助科目を表示させたりする方法を説明します。試算表の種類は「月次・期間」と「年間推移」がありますが、一般に試算表といえば月単位ですので、「月次・期間」で説明をさせていただきます。

■試算表を表示させる

画面上部の文字メニューで「集計」「残高試算表」「月次・期間」とクリックします。そうすれば、紙に印刷した試算表と同じものが画面に表示されます。次に、検討したい「期間」を選びます。複数の月や全期間(事業年度の全ての月)を選択することもできますが、まずは特定の月(単月)を選択してください。

タブが「貸借対照表」「損益計算書」場合によっては「製造原価報告書」に分かれていると思います。検討したいものをクリックしてください。

■勘定科目の個々の内訳を調べる

「損益計算書」をクリックすれば売上高から始まり売上原価、販売管理費と続きます。

販売管理費にたくさんの勘定科目があります。画面右のスクロールバーで画面の下に移動することができます。気になる勘定科目がいくつかあると思います。

「福利厚生費ってなんだろうか?」、「うちは従業員旅行になど行っていないのに・・・」。試算表に表示された福利厚生費という文字の上を左でダブルクリックしてください。「総勘定元帳」が表示されたと思います。その月に支出した個々の福利厚生費が表示されます。「従業員用のお茶やお菓子も福利厚生費なんだ!」、ということです。

(文字メニューの「ウインドウ」で試算表に戻れます。)「旅費交通費が多いのでは?」、さっきと同じ要領でクリックしてみます。「従業員の通勤手当は旅費交通費なのか!給料手当だと思っていた!」、勘定科目の内容というのは会社や経理担当者によって違ってきますので、ほかの人の感覚とは異なる場合も多いのです。

■勘定科目を細分化する

次に貸借対照表のタブをクリックしてください。

「現金・預金」という気になる勘定科目が表れました。「普通預金、銀行別に知りたいな!」、普通預金の上を右クリックすればメニューが表示され、その中の「補助科目を表示」を左クリックします。銀行別に表示されます。ただし、そのためには普通預金に関しての「補助科目」をあらかじめ設定し、入力も補助科目ごとに行う必要があります。

「売掛金」も気になると思います。さっきと同じ要領で補助科目を表示させてみましょう。「今は取引をしていない得意先が残っている!」「『その他』が多すぎるのでは?」「あの得意先は社名変更したぞ!」、補助科目は定期的に見直さなければなりません。当然、設定を変えることができます。

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★「前月繰越」「当月借方」「当月貸方」「当月残高」

弥生会計13の試算表の数値はこのように並んでいます。

「前月繰越」と「当月残高」は損益計算書勘定科目の場合にはその時点までの累計額を表します。

「当月借方」は資産関連勘定科目(現金、預金、売掛金など)と費用関連勘定科目(仕入、給料、福利厚生費など)は増加を、負債関連勘定科目(買掛金、借入金など)と収益関連勘定科目(売上、受取利息など)は減少を表します。

「当月貸方」は、負債関連勘定科目(買掛金、借入金など)と収益関連勘定科目(売上、受取利息など)は増加を、資産関連勘定科目(現金、預金、売掛金など)と費用関連勘定科目(仕入、給料、福利厚生費など)は減少を表します。

★その月の利益とその月までの累計利益

「その月の利益」は、損益計算書「当月貸方」の「当期純損益金額」です。「その月までの累計利益」は「当月残高」の「当期純損益金額」です。

会計ソフトの仕訳帳(伝票)を印刷する

2013-07-19 17:00:00 | 会計ソフト(弥生会計)
かつて、会計ソフトの入力画面といえば振替伝票に仕訳を入力するという形式しかありませんでした。昨今は、「簿記会計(仕訳)の知識不要!」というキャッチフレーズの会計ソフトが主流になり、振替伝票(仕訳)以外の「出納帳形式」、場合によっては「対話形式」の入力画面が当たり前のようになりました。しかし、依然として会計ソフトの原理は複式簿記によっており、ユーザーが意識することなく背後では仕訳(振替伝票)が生成されているのです。この複式簿記(仕訳)の根本原理は会計ソフトさえなかった50年前と全く同じです。

■仕訳形式でなければ判断できない取引もあります
「給与の支払い」「固定資産の売却」などはその典型です。また、消費税の判断(課税・非課税)も仕訳形式にしないと判断できない場合もあります。

■仕訳帳(伝票)を印刷する

仕訳帳が必要になるのは税務調査です。ですから、事業年度が終了し税務申告が終わったならば、税務調査に備えて総勘定元帳と一緒に仕訳帳も印刷しておく必要があります。

弥生会計13の場合には次の手順で印刷できます。

画面上部の「文字メニュー」で「帳簿・伝票」「仕訳日記帳」をクリックします。

仕訳(借方、貸方)が表示されます。

「全期間(Y)」をクリックします。

「ファイル」「印刷」をクリックします。

「書式」は「A4/縦/3行/弥生形式」でよいです。

「OK」をクリックすれば印刷が始まります。

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★紙の振替伝票(仕訳)は必要か?
会計ソフトの仕訳帳を印刷しておけば不要です。しかし、今時の会計ソフトでも振替伝票形式の入力画面はあり、経理に詳しい人は紙で振替伝票を起票しこの画面で入力しています。また、経理データ(会計ソフト)を容易に変更してはいけないことから、紙の振替伝票を起票し、それに上司の承認印がなければデータ入力をしてはいけないという仕組みを頑なに維持している企業も数多くあります。

総勘定元帳を印刷する(保存する)

2013-07-17 17:00:00 | 会計ソフト(弥生会計)
会計ソフトで作成した総勘定元帳は紙に印刷し保存しておかなければなりません。電子データで保存しておけるのは例外です(事前に税務署への届けが必要で、要件は相当厳しいです)。

■印刷する時期
決算が確定した時点、つまり決算書が完成し税務申告も済み「これ以上数字も勘定科目も変動しない」という状態になってから印刷します。そうでないと、印刷のし直しをしなければならないからです。なお、月次決算が終了した時点で印刷してもかまいません。ただし、この場合には月次決算が事後的に変動しないということが条件になります。

■印刷する範囲
その事業年度の「全ての期間」の「全ての勘定科目」です。ただし、期間中に変動のない勘定科目は不要です(ほとんどの会計ソフトでは印刷されない設定になっています)。

■補助科目を設定している場合
補助科目を設定している勘定科目については「補助科目単位」で印刷すればよいです。勘定科目単位の総勘定元帳は不要です。

■保存する並び(勘定科目の順序)と単位
保存は試算表の勘定科目の順序で行います。貸借対照表・資産の現金で始まり、損益計算書の法人税・住民税・事業税で終わります。保存単位は全社あるいは部門で行います。

■印刷する用紙
会計ソフトメーカーが提供しているあらかじめマス目が印刷された用紙でも、市販されている白紙の用紙のいずれでもかまいません。また、片面印刷、両面印刷のいずれでもよいです。

■ファイリングの方法
会計ソフトメーカーが提供しているファイル(バインダー)でも、市販されているファイルのいずれでもかまいません。穴の数は二つでもそれ以上でもよいです。しっかりと綴じられていればよいです。

■印刷する項目
「表題としての勘定科目」「取引の日付」「借方・貸方・残高の金額」「相手勘定科目」「摘要」は必須です。消費税の課税事業者の場合には、消費税の区分(課税、非課税など)を印刷しておく必要があります。

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★総勘定元帳は税務調査で必ず見られます
調査官は「問題あり」と感じた勘定科目の総勘定元帳を検討します。記載されていることの真偽、記載漏れの有無を検討するのです。

★電子データでの保存をお考えの場合
【国税庁サイト】電子帳簿保存法について
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/dennshichobo/jirei/index.htm