【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

消費税率引き上げに伴う会計ソフトのバージョンアップ

2013-10-10 17:00:00 | 会計ソフト(弥生会計)
来年(平成26年・2014年)4月から消費税率が引き上げられることに伴い会計ソフトのバージョンアップが必要となります。会計ソフトには消費税の計算機能(税務署に納税する消費税の計算)が備わっていますが、ユーザーでは税率の変更を行うことができないからです。

新税率である8%で設定されている会計ソフトであれば、来年4月以降の日付の取引を入力すれば、その取引が消費税に関する取引であれば税率8%として消費税の計算がされます。8%に対応していない会計ソフトの場合には旧税率である5%のまま計算されますので、消費税の計算は行えません。

バージョンアップは新税率の取引を入力するまでに行えばよいですが、バージョンアップをすれば操作画面が大幅に変わることもありますので、戸惑わないように余裕をもって早めにバージョンアップすることをおすすめいたします。

★免税事業者の場合
消費税の計算は不要ですのでバージョンアップの必要はありません。今後も、消費税の設定を「OFF(免税事業者)」で使い続ければよいです。

★簡易課税を選択している場合
簡易課税の場合には消費税の計算機能に頼らずに消費税を計算できますので(主に売上高から計算できますので)、敢えてバージョンアップする必要はないと思います。ただし、会計ソフトで作成した消費税の申告書を税務署に提出する場合にはバージョンアップが必要です。

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●初めて会計ソフトをバージョンアップする

会計ソフトのバージョンアップは初めてという人もいると思いますので、弥生会計で13にバージョンアップする場合を説明させていただきます。(13は新税率には対応していませんが、まもなく発売される新税率対応の14も操作方法に違いはないと思います。)

新バージョンをインストールしても旧バージョンはアンインストールされません。引き続き旧バージョンも使えるということです。

データのコンバートは新バージョンを起動して、旧バージョンのデータを開けば行えます。

旧バージョンのデータは残りますので、以後、間違って入力しないようにしなければなりません。つまり、旧バージョンを起動したり、旧バージョンのデータをクリックしたりしないようにすることです。これを避けるため、旧バージョンはアンインストールし、旧バージョンのデータは削除しておくことが望まれます。

なお、バージョンアップ前のバージョンによっては、上記の操作でコンバートできない場合があります。(13の場合には08以前はできません。)

会計ソフトの入力手順

2013-09-13 17:00:00 | 会計ソフト(弥生会計)
会計ソフトへ仕訳を入力する順序は特にありません。日付や取引の種類がランダムでもかまいません。会計ソフトが並び替えてくれるからです。しかし、一定の順序で入力すると、特定の勘定科目の内容や残高から先にチェックしながら作業を進めることができますので能率が上がります。

■まずは預金取引から入力する
預金取引は非常に客観性が高いです。預金通帳という信頼のできる記録が存在するからです。ですから、まずは預金取引を入力して預金勘定を「固めて」しまいます。預金口座が複数ある場合にはメインの口座から入力します。ひと通り入力が済めば、会計ソフトにおける各預金の残高が預金通帳と一致するかを確認します。

■二重仕訳に注意
上記の預金取引の預金間移動(ある預金口座から他の預金口座に資金を移すこと)に関して、どの預金口座から入力するかをあらかじめ決めておく必要があります。普通は先に入力するほうで入力し、後から入力するほうでは入力しないようにします。

■次は現金にしますか
次は現金でいいと思います。預金からの引出しと預金への預入れは入力済みですので二重に入力しないようにしてください。ひと通り入力が済めば、会計ソフトにおける現金の残高が実際の現金残高と一致するかを確認します。

■仕上げは売掛と買掛
最後に売掛と買掛を入力すれば完成です。まずは、売掛(売上)と買掛(仕入)の計上をします。売掛の入金と買掛の支払いは上記の預金と現金で大部分は済んでいますので、残る部分である「値引き」「売掛と買掛の相殺」「手形」の分を入力します。

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★現金・預金取引と売上・仕入(売掛・買掛)が仕訳の大部分
ということです。会計ソフトを導入したならば、まずは上記のレベルに到達しなければなりません。「預金残高が合わない?」とか「預金の残高はどこを見ればよいのか?」という状態からは早急に脱しなければなりません。

会計ソフトの入力確認

2013-09-06 17:00:00 | 会計ソフト(弥生会計)
会計ソフトに限らず、コンピューターにデータを入力した際にはデータが基資料どおりに入力されているかを確認しなければなりません。そうでないと、入力したデータを加工(分類や集計)した結果が誤ったものになるからです。

■仕訳の基データと照合する
会計ソフトから作成される総勘定元帳や試算表・決算書などのデータの基となる要素は仕訳です。その仕訳は「請求書」「領収書」「預金通帳」などを基資料としていますので、仕訳と基資料を入念にチェックしておく必要があります。

■入力漏れを防止する
正しい仕訳を決定したとしても、それを会計ソフトに入力しなければ意味がありません。そこで、上記の基資料に「連番を付す」「入力済印を押す」などして入力漏れが起こらないようにしておく必要があります。

■集計結果を確認する
集計結果である総勘定元帳や試算表から思いもよらないミスを発見することがあります。例えば、「仕訳の基礎データそのものを紛失している」場合です。現金からの引出しの仕訳(入力)が漏れていると総勘定元帳や試算表の現金の残高が実際に手元にある現金の残高に一致しません。商品の請求書(仕入と買掛金)が漏れていると、総勘定元帳や試算表の仕入と買掛金が実際の数値と一致しません。集計結果から「こんな数字になるはずがない!」が発見されるのです。

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★手書きの振替伝票(仕訳は書いてみる)
仕訳は書いてみないと理解できません。簿記をマスターするには仕訳を書くしかありません。なんといっても、手書きの振替伝票(仕訳)は回覧や査閲に便利です。回覧・査閲後に入力すればミスは相当防げると思います。

★会計ソフトとは連動しない金銭出納帳(会計ソフトで現金管理をしない)
会計ソフトの金銭出納帳は全取引を入力しないと残高が算出されません。しかし、会計ソフトとは連動しない金銭出納帳を現金が動いた都度作成していれば(手書き、あるいはエクセルなどで作成)、いつでも実際の現金残高と金銭出納帳の残高を照合することができます。そして、その金銭出納帳を会計ソフトの入力基データとするのです。

弥生会計の起動方法(データファイルの扱いは慎重に)

2013-09-04 17:00:00 | 会計ソフト(弥生会計)
【ご注意】下記の説明は、OSはWindows7、弥生会計は「13」を前提にしています。

弥生会計には次のような起動方法があります。

【1】スタートボタンから起動する(同時にデータファイルを開く)
原則はこれだと思います。あらゆるソフトの起動方法がこれです。起動すればすぐに作業を始めることができます。スタートボタンから「弥生13シリーズ」「弥生会計13」の「弥生会計13」をクリックします。なお、この「弥生会計13」をショートカット、スタートメニュー、タスクバーにしてもかまいません。

【2】スタートボタンから起動する(データファイルは別に開く)
初期設定では【1】の方法で起動すれば前回起動していたファイルが開きますが、「オプション」「環境設定」「起動・終了」「起動時の設定」で起動時にデータを選択できるように設定できます。複数のデータファイルを扱う(複数の企業の経理処理をする)会計事務所などはこの設定にしておくと便利ですが、通常はその必要がないために【1】が初期設定になっています。

【3】データファイルを直接クリックする
意外に知られていませんが、弥生会計はワードやエクセルと同じようにデータファイルを直接クリックすれば起動することができます。データファイルが保存されている場所は「設定」「事業所設定」の「事業所データ情報・フォルダー名」で確認できます。なお、「スタートボタン」「最近使った項目」からも起動できることはいうまでもありません。(弥生会計のデータファイルは1個です。複数のファイルから構成されていません。)

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★知らないうちにファイルを複数作っていた
弥生会計のファイルはワードやエクセルのファイルと同じ要領で「複写」「削除」「ファイル名の変更」ができます。これがどのような事態を招くかは容易に想像がつくと思います。特に複数の人が交代して入力する場合には注意が必要です。「データファイルを保存するフォルダー」と「データファイル名」は変更しないよう徹底しなければなりません。

★「過年度のデータ」と「バージョンアップ前のデータ」
誤って過年度のデータファイルを開き、それに入力をしてしまうことがあります。また、弥生会計13は「09」以降のデータを開くことができますので、誤って最新バージョンにコンバートする前のデータを開いてそれに入力してしまうことがあります。

★不要なデータファイルは削除しておく
これを徹底するしかありません。保存するにしても外部記憶メディアにすることです。

★誤ってバックアップファイルをクリックしてしまった
【3】でファイルを開いている人が誤って、バックアップファイルをクリックしてしまうという誤操作があります。バックアップファイルを実行してしまうと、データファイルに上書きされてしまいます。バックアップファイルがデータファイルよりも古い場合には入力データの一部が消えてしまいます。

なぜ、会計ソフトのサポートは仕訳や税務処理を教えてくれないのか?

2013-07-29 17:00:00 | 会計ソフト(弥生会計)
「会計ソフトのサポートに仕訳や税務処理(経費になるかどうか?)を質問しても回答してくれなかった!なんのためのサポートなんだ!」といって憤慨する人が非常に多いです。

■仕訳や税務処理のアドバイスは会計ソフトメーカーの仕事ではない

会計ソフトは「ユーザーが考えた仕訳(税務的な判断)」を「所定の入力画面」に入力した結果を基に「総勘定元帳」「試算表」「決算書」を作成するというものです。会計ソフトは仕訳が正しいかどうかとは無関係に以後の処理を行うのです。

会計ソフトメーカーの仕事は、仕訳が「総勘定元帳」「試算表」「決算書」に正確に分類集計されるプログラムを作ることなのです。会計ソフトは一定の操作(クリックなど)をしなければ動きません。会計ソフトメーカーのサポートはこの操作方法の説明ということになります。

■仕訳や税務処理のアドバイスまでをすれば「泥沼」にはまってしまう

確かに、「仕訳や税務処理のアドバイス」は会計ソフトメーカーにとってはビジネスチャンスかもしれません。しかし、そこまですれば泥沼にはまってしまうと思います。

仕訳によっては、膨大な基礎資料の解読が必要であるとか、税務的な判断の調査に時間を要するものもあるからです。このようなサポートを年間数万円のサポート料金ではとてもできません。

■法律的な問題

税務(税務申告の代理や税務相談)は税理士でなければ行えません。例え、会計ソフトメーカーのサポート担当者が税理士と同等の税務知識を有していたとしても税務は行えないのです。

そんなことから、「税に関する判断は税務署あるいは税理士におたずねください」が決まり文句なのです。

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★会計ソフトメーカーの宣伝に問題があるのでは!?
今まで購入した各種のソフトをどうにか使いこなしてきたことから、会計ソフトメーカーの宣伝を見て「できる!」と考えて会計ソフトを購入し「初めて挫折した(使えなかった)」「初めてだまされた?」となる人がいます。しかし、会計ソフトメーカーのサイトを丹念に読む、経理に詳しい人に相談する、ネット上の情報を検索するなどをしていればこのような事態は十分避けられました。「都合のよい情報だけ」を信じてしまうからいけないのです。

★それならば税務署に教えてもらう!
税務署にノートパソコンを持参する人がいると聞いています。しかし、「自主申告ですので、仕訳や税務判断は納税者自身で行ってください」ということになってしまいます。