少し開けた車の窓ーーー
無音ーーー
中も、
外も、
むおん、、、
ちゃんと響いているはずのエンジンの音も、
いつも聴こえてくる虫の声も、
何も無い。
たぶん、
たぶん、
時間が流れて。
家に着くころ、車窓に流れるサルスベリの優しい色に気付き、
虫の声に気付く。
いつものように、うるさいくらいに、、、
もうすぐ8月も終わる
病院から話があり、母の今後の治療方針を決めなければならない、、、
答えは、、、親族で話し合い決めてはあったけれど、
もう一度話し合ってみるように助言されて、、、
その決断には大きな責任が伴う事に押しつぶされそうになる、、、
自分の役目として、言葉にして発しなければならない事の重圧がのしかかってくる、、、
母が思い続けていただろうあの子たちに、もう会うことは無いだろう、、、とか、
何でも言いたい事を聞かせてほしいとか、
今何を考えているんだろうとか、
もう何も考えられないのだろうかとか、
ぼんやりと開けている母の小さくなった目は、会いたい人たちを思い描いているのだろうか、、、
遠くを見つめているような眼差しの先にはもしかするとあの子たちがいるのかな、とか、
せめて、もう少し頑張ろうと訴えかけてみる。