母の病院へ、
いつもの国道を走ると峠は霧に覆われ始めた。
山裾から霧が生き物のように駆け上がってくる。
もうすぐ96歳になる母。
気分はどう?
元気?
きょうは調子がいいのか、思ったより元気な母が目をぱっちりと目を開けてうなずいた。
病院のベッドの上で、母の眼差しの先には何があるのだろう、、、
遠い懐かしいあの子たち?
ちょっとだけ、母の眼差しの奥を覗いてみたいような、、、
院長先生や看護師さんにお世話になりながら経鼻栄養補給の状態がうまくいっている。
しかし、ひと月前までは一緒に歌を歌ったりしたが最近はなかなか声にならない。
母は今はもうずっと病院にいるが、
家にいた頃のせわしかった毎日の事がふと懐かしくなる。
あ~、緊張感がなくなり、何事にも手をかけない方にばかりいってしまう。
家での母の世話がなくなり、時間も適当になりすっかりずぼらになってしまった。
人の心は不思議なもので、
駆け上がってくる霧を見ながら、
霧の峠を往復しながら、
最近の世の中の流れや身近の雑多な出来事なども、
気分が乗らなかったりと色々と複雑な気持ちが目の前の景色と重なる。
そうだ、今度春色の柔らかい生地の寝間着を持っていこう、
母はもう服の事など分からないと思うが、、、
そんなことを考えながら自分の気持ちが癒される事もある。
そういえば、まだ母が家でおいしく食事ができたころ、
急に料理好きになった主人が母の分も一緒によく作ってくれた。
そして母も、
主人が作ってくれた食事を何でもおいしいおいしいと言って食べていた♪
食欲があったあの頃の母の嬉しそうな顔がふと思い出される。
♪(^^♪♪☆。・
じいじシェフのきょうの夕食は野菜たっぷりのスパゲッティとアジの南蛮漬け♪