二人が旅券を門番に見せグレン市に入ると、いつも通り華やかでにぎやかな街であった。
「カル、はぐれないようにちゃんとついて来るのよ」
そう注意するレム。
まるで子供にでも相手にするような言い様だが、実際すごいのである、カルの方向音痴は。
初めて行ったところで方向が分からなくなるのが普通の方向音痴だが、いつも歩くところですら外から建物の中に入っただけで方向が分からなくなるのである。
ここまで窮境の方向音痴は、カル以外いないのではないか、とレムは思っている。
しかし、何故か帰途能力だけはちゃんと備わっているのだから、不思議なものである。
「ねぇ、レムちゃん。旅券の確認ってあんな簡単に済ませちゃっていいの? 荷物の検査とか何日市内に泊まるとか申請しないで大丈夫なの?」
小走りに追いついたカルがレムの隣に並ぶ。今まで緊張していた分、ただ旅券を確認しただけで簡単に市内に入れたと言う事が、カルにとって不思議なことらしい。
「うん。まぁ、あたしが正式に魔道士協会に所属しているし、門番にカルの事あたしの連れ立って言ったから。それに、マリーヌの裏書も効いていると思うわよ、何たって彼女、今でこそ静かに(隠居風)魔導師生活なんてやってるけど、若い頃は王室付きの魔導士だった事もあるんだから」
「ふうん。すごい人に裏書してもらったんだ」
レムの説明を聞いたカルは、首に下げた旅券を大事そうにしまいこんだ。
「カル、はぐれないようにちゃんとついて来るのよ」
そう注意するレム。
まるで子供にでも相手にするような言い様だが、実際すごいのである、カルの方向音痴は。
初めて行ったところで方向が分からなくなるのが普通の方向音痴だが、いつも歩くところですら外から建物の中に入っただけで方向が分からなくなるのである。
ここまで窮境の方向音痴は、カル以外いないのではないか、とレムは思っている。
しかし、何故か帰途能力だけはちゃんと備わっているのだから、不思議なものである。
「ねぇ、レムちゃん。旅券の確認ってあんな簡単に済ませちゃっていいの? 荷物の検査とか何日市内に泊まるとか申請しないで大丈夫なの?」
小走りに追いついたカルがレムの隣に並ぶ。今まで緊張していた分、ただ旅券を確認しただけで簡単に市内に入れたと言う事が、カルにとって不思議なことらしい。
「うん。まぁ、あたしが正式に魔道士協会に所属しているし、門番にカルの事あたしの連れ立って言ったから。それに、マリーヌの裏書も効いていると思うわよ、何たって彼女、今でこそ静かに(隠居風)魔導師生活なんてやってるけど、若い頃は王室付きの魔導士だった事もあるんだから」
「ふうん。すごい人に裏書してもらったんだ」
レムの説明を聞いたカルは、首に下げた旅券を大事そうにしまいこんだ。