漢字で「右」「左」に「にんべん」を加えた「佑」「佐」、そして「右」に「しめすへん」を加えた「祐」は「たすける」という意味があります。単に「右」「左」という漢字にも「たすける」という意味があります。これらの漢字は名乗(人名用の訓読み)では「すけ」、「たすく」と読みますね。
「右だけではできないことを左が助ける」、「左だけではできないことを右が助ける」という発想から、こういった漢字の意味が生まれたのだろうと、思いをはせてみました。
「みぎ」「ひだり」という方向を表す意味が最初にできて、「たすける」という意味は後から派生したと思いきや、実際にはその逆らしい。
「右」「左」という漢字のなりたちを見ると…
「右」は神に祈る姿から生まれた字で、神に祈って助けを求めることから、「たすける」を表すようになった。後に方向を表すようになったため、「たすける」にはにんべんを加えた「佑」が用いられるようになった。また、神の助けを意味するので、神を表す部首であるしめすへんを加えた「祐」という字も生まれた。
「左」は左手に工具を持つ姿から生まれた字で、右手だけでは困難な作業を左手が補助することから「たすける」を表す。後に方向を表すようになったため、「たすける」にはにんべんを加えた「佐」が用いられるようになった。
漢和辞典の付録に載っている「同訓異義一覧」の「たすける」の見出しを見ると、だいたい以下の通り。
「佑・右・祐」は神や天がたすける、また、手を貸すという意味で、強い者の力の働きでたすけるという意味合い。
そういえば先週の「旅サラダ」という番組の「コレうま」のコーナーで紹介された四字熟語は「天佑神助」だったね。
一方「佐・左」は二番手になってたすける、補佐するという意味で、目下の人が目上の人をたすけるという意味合い。
※ちなみに「補佐」のもとの用字は「輔佐」で、「補佐」と書くのは1956年の「同音の漢字による書きかえ」による。
右利きが圧倒的に多いこともあってか、右が左より上位と考えられ、人が横1列に並ぶ時上位者から順に右から並ぶことが多い。「右に出る者がいない」という慣用句もある。右(佑・祐)の「たすける」と左(佐)の「たすける」の意味の違いも、そういったことの表れかしら?
「たすける」の同訓異義の漢字は他に、助、輔、援、扶、翼などがあり、漢字ごとに意味やニュアンスが異なる。普通の日本語でこれらを使い分ける必要はなく、「たすける」はすべて(「たす-ける」の読みが常用漢字表に載っている)「助ける」で書いてOKです。
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