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新しい常用漢字

文化審査会は、常用漢字表を29年ぶりに見直した改定常用漢字表を文部科学省に答申した。新たに追加される字と削除される字があり、その一部で特に注目したい漢字を紹介します。

*この記事には一人称代名詞に関する話題が含まれるので、混乱を避けるため、今回ばかりは自分のことを名前で呼びます。

「鬱」
画数が多くて難しい漢字だが、鬱病・鬱積・鬱憤・鬱血・鬱結・憂鬱など、「鬱」のつく熟語は10個以上ある。異字体に「欝」があり、こっちのほうが画数が少ないから、できれば新字体として「欝」を採用してほしいと思う。ちなみに「鬱」は中国の簡体字では「郁」。中国語で「鬱」と「郁」は同じ音だからだ。「郁(イク)」の字の意味は「彩が鮮やか」、「かぐわしい」で、「気持ちがふさぐ」といった悪い意味のある「鬱」とは反対にいい意味である。もし日本で「鬱」の新字体を「郁」にしようとしたら、たぶん反対の声が上がるでしょうね。「郁」は人名用漢字だし。

「俺」
この字の採用には賛否両論があった。すぐる的には反対しないけど、「私」と「僕」に関してちょっと意見を述べたい。
 現在の常用漢字表では「私」の音訓に「わたくし」は載っていて、「わたし」は載っていない。でも「わたし」もぜひ常用漢字音訓に追加したほうがいい。「わたくし」より「わたし」のほうがよく使うし、パソコンでも「わたし」と入力して変換キーを一回押せば「私」に変換される。特に意識しなければ「私」は「わたし」と読まれ、言葉遣いのマニュアルなどで特に「わたくし」と読ませたいときはいちいちルビを振ることもある。つまり、普通は常用漢字表にないほうに読まれ、常用漢字表にあるように読ませたいときにかな書きするかルビを振るという逆転現象がおきているわけだ。
 常用漢字改定案とは関係ないが、「僕」を辞書で引くと、だいたい「男性が親しい人や目下の人に使う一人称」と書かれている。つまり、上司など目上の人と話すときは「僕」は使えないということ。でも現実には成人男性が目上の人と話すときにも「僕」を使う人が多い。「僕」は「しもべ」という意味があり、へりくだった感覚で「僕」を使っている人もいるだろう。「僕」は男性しか使わないので、男は女よりへりくだらないといけないのか、ということも感じさせられ、ちょっと嫌だなぁ・・・。こう言ったら押し付けがましいけど、できれば辞書どおりに使ってほしい。

「岡」
都道府県名に使われる漢字。地名には「丘」よりも「岡」がかなり目立つようで、すぐるも小学生のときだったけど、「丘」より先に「岡」の字を知った。

「阪」(ハン、さか)
「坂」(ハン、さか)とほぼ同じ意味で、漢和辞典によっては「阪」は「坂」の異字体としていることもある。ちなみに大阪は昔「大坂」と書いた。大坂が大阪に変わった理由は、「坂」の字を分解したら「土に反(かえ)る」になって縁起が悪いからという説があるそうだ。大阪から京阪・阪神・名阪などの熟語が生まれ、使う機会は多い。

「遡」「謎」など、しんにゅうを含む字は旧字体の「二点しんにゅう」のままで採用しようとしてるみたいだけど、これには反対だなぁ。見てお分かりのとおりパソコンでもすでに点は一つだし。どうせ手書きでは一点が普通なんだから、手書きと印刷とを違う形にして教育現場で混乱を起こさないでほしい。

次のように、常用漢字表から削除される字もある。

「脹」
「膨脹」という熟語があるが、一般的には「膨張」を使い、「膨脹」はあまり使われなくなった。

「匁」「勺」
尺貫法の単位。ものをはかるときメートル法を使う世の中なので、「匁」「勺」という漢字自体使う機会があまりない。

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