バナナは沖縄の方言(ウチナーグチ)では「バサナイ」という。「バサナイ」を初めて聞いたとき、「バナナ(banana)」と音が似ているから同じ語源かなと思った。果物の名前は原産地の言葉での呼び名が世界に広まったものが多いので、バナナは熱帯性の果物で東南アジア原産で、沖縄が東南アジアから近いということもあって、東南アジアの言葉が伝わって「バサナイ」になったのかなと思った。
昔、家で「バナナとバサナイは同じ語源かもしれないね」っていう話をしたとき、お父さんが「ナイは実のことだよ」って言ってた。「なり(成り、生り)」に対応しているわけね。「果物」はウチナーグチで「ナイムン」という。
バナナは中国語で「香蕉(シアンヂアオ)」ということや、日本での漢字表記が「甘蕉」であること(果物の名前は外来語で普段カタカナで書かれるものでも漢字表記があるものが少なくなく、漢字クイズに出ることもある)から、芭蕉の「蕉」という字が含まれているので、バサナイの「バサ」って「芭蕉」のことかなと最近思って、調べてみたらそうだった。つまり、「バサナイ」は「芭蕉の実」という意味。
バナナはバショウ科。沖縄で芭蕉は芭蕉布という伝統的な織物に使われなじみが深い。芭蕉布に使われるのはリュウキュウバショウで、バナナとは近縁種である。
「Banana」の語源についてウィクショナリーで調べたところ、アフリカ西部のウォロフ語の「banaana(バナーナ)」が起源とのこと。原産地の東南アジアの言語を見ると、マレー語とインドネシア語では「pisang」、タガログ語では「saging」で、全然違う言い方だ。
「バナナ」と「バサナイ」が似ているのはまったくの偶然。
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