「クレヨン」はフランス語の「crayon」から来ている。クレヨンはろうで作られた画材で、フランスで発明された。しかし、フランス語で「crayon」は「鉛筆」のことである。
鉛筆は黒鉛を原料とし、芯の周りは木で覆われている。クレヨンはろうを原料とし、全部が芯でできていて縁は紙で巻かれただけである。こういった点で、鉛筆とクレヨンは大きく違う。ではなぜフランス語で「鉛筆」を指す言葉がろう製の画材を表す言葉として使われるようになったのか?
日本語で言う「クレヨン」はフランス語で「crayon de cire」(直訳すると「ろうの鉛筆」)と言い、「de cire」が略された「crayon」という形で英語に取り入れられ、ろう製の画材を指す言葉となった。英語経由で日本語の「クレヨン」となった。
グーグル翻訳では「鉛筆」をフランス語に翻訳すると「crayon」と出てきたが、「クレヨン」も同様に単に「crayon」と出てきた。フランス語で「crayon」と言うと普通は鉛筆を指すが、画材のクレヨン(crayon de cire)のこともシチュエーションによっては単に「crayon」と言うこともあるのかな?
木の縁が付いた「色鉛筆」はフランス語で「crayon de couleur」と言う。英語で色鉛筆は「color pencil」、他に「pencil crayon」とも言う(英語版ウィキペディア「Color pencil」より)。「Pencil crayon」だと「鉛筆鉛筆」になっちゃうけど(笑)
フランスでは画材のクレヨンも「鉛筆(crayon)類」として認識されているみたいね。日本で「鉛筆類」と言えば木の縁で覆われているものと鉛筆と同じ黒鉛が使われるシャープペンシルぐらいで、クレヨンは別だね。
鉛筆は英語でpencil、スペイン語でlápiz、そしてフランス語ではcrayonと、各言語で全く違う語形だ。英語とスペイン語は鉛筆の形を感じさせる語感だが、フランス語は語感から鉛筆の形をイメージしにくい。さらに言えば、画材のクレヨンのイメージが先行してしまう。
「クレパス(CRAY-PAS)」は「クレヨン(crayon)+パステル(pastel)」の合成語で、サクラクレパスの登録商標。クレヨンにパステル(固形絵の具の一種)のような軟らかさを追求して開発された商品で、クレヨンより軟らかい。
「クーピー(COUPY)」、正式名称「クーピーペンシル(COUPY-PENCIL)」は全芯の色鉛筆。クレパス同様サクラクレパスの登録商標。名前の由来はフランス語で「一撃」を意味する「coup(クー)」に「Y」を付けたもの。クーデター(coup d'État)のクーと同じね。革命的な商品という意味を込めて「クーピー」と名付けられたとのこと。
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