赤ちゃんマッサージ

帰省してきた楽が言う。

おかん、マッサージして～。

とりとめもない話をしつつマッサージ。

すると、ずっと昔のことを思い出す。

赤ちゃんの頃の楽と善。

お風呂上りにはいつも

身体全体をてのひらで触ってあげた。

ベビーオイルをつけて、

優しく優しく、身体全体をマッサージ。

くるくると円を描くようにマッサージ。

すると、二人ともあっという間に、

すやすやと気持ちよさそうに寝てしまった。

すべすべの肌も

ぷっくりしたお尻も

柔らかくて気持ちよい。

二つのてのひらで覆いつくされてしまう

小さな身体が愛しい。

ママさん教室で教わった赤ちゃんマッサージだ。

てのひらから、安心感を伝えるそう。

赤ちゃんに大丈夫だよ、安心だよって。

人肌のぬくもりは赤ちゃんにとって

大きな大きな癒しになるそうだ。

私はこの赤ちゃんマッサージが好きだった。

だからなのか、

楽と善が保育園に入っても

小学生になっても

二人が大人になった今でも

二人の身体を触るのが好き。

私の癖のようなものとなってしまった。

善がテスト勉強で疲れ果てていた浪人時代。

寝ている善のお尻をぽんぽんぽんぽんたたいて、

すね毛だらけの脚をごしごしマッサージ。

背中全体をてのひらでマッサージ。

がんばってるねえ、がんばってるねえ、

大丈夫だよ、大丈夫だよって。

帰省してきた楽が、寝ころんでいると、

足裏のつぼをマッサージ。

ふくらはぎからふとももをマッサージ。

お尻をぽんぽんぽんぽんたたいて、

頭をなでなで。

がんばってるねえ、がんばってるねえ、

安心しなさい、安心しなさいって。

てのひらで覆いつくせた小さな身体は

私よりずっと大きくなってしまった。

善なんて、ごつごつと筋肉質ですね毛だらけ。

それでも二人は相変わらず

愛しい赤ちゃんの頃のままのよう。

今日も今日とて

てのひらから安心感を伝えている。

いや、

てのひらから安心感をもらっているのは

私の方なのかもしれない。

赤ちゃんの頃から今までずっと

癒されていたのは私の方なのかもしれない。

7月17日　　　おかん