いよいよ「混在」の極め付きだ。これは(下の写真)江戸時代、19世紀中頃の薩摩切子「藍色被栓付瓶」と呼ばれる酒瓶だ。専門家ならば、例えば、「鮮明なコバルト・ブルーの被せガラス酒瓶。側面は、六角籠目に麻の葉小紋と魚子文の組み合わせである。また中央の文様の上下には楕円形の色ガラスに霰文を施した輪結び文様がみられる」と解説する。僕は日本の文様についての体系的な研究者ではない。こういう解説・視点に対しては、目と耳を塞ぐ。問題は、この薩摩切子の完璧な美だ。僕は無条件に酔ってしまう。ただ、自問せざるを得ない、「この美を平面作品においても再生できるかどうか」と。 僕は僕の方法で、菱形と楕円形との混在を飽くまでも平面において創り出さざるを得ない。これが今夜の再確認だ。遠くの森へ青い鳥を探しに行っている暇はもうない。