2011年11月22日のことだからもう10年も前のことだが、今も鮮明に覚えている。
なんせ地獄のようだったから・・・。
「ふじのくに新東名マラソン」はまだ工事中の新東名高速道路の2車線を使い、スタートは駿河湾沼津SAから、冨士川を渡って折り返して戻ってくる42.195㎞のマラソンで、高速が開通した今や2度と実現できない1回こっきりのマラソン大会だ。
三島駅からシャトルバスに乗ってまるで現場に向かう業者のように、工事車両や機材が点在するスタート地点へ着いた時は、今にも降ってきそうな曇り空。
それがどうだ、スタートするとみるみるうちにドピーカン、それが3時間後に悪夢の光景を作りだすのをこの時は誰も予想していなかった。
その状況を当時のニュース記事がこう伝えている。
「富士市ではこの日、11月の観測史上最高の26.5度を記録。21キロの折り返し地点以降、脱水症状や熱中症で倒れる人が相次ぎ、うち9人が救急搬送された。側溝にたまった雨水を飲む人もいた」
「給水地点の水が尽き、参加ランナーの一部が最長で17キロにわたって水分補給ができなかったことがわかった。脱水症状を訴えるランナーが相次ぎ、大会を公認した日本陸上競技連盟は「生命に関わる、絶対あってはならないこと」
「フル部門の出走者4719人中、完走者は4259人で完走率は90.3%。日本陸連によると、7時間制限の大会の完走率は95%以上がほとんどで、同じ日に神戸市であった「神戸マラソン」は97.2%だった。実行委の担当者は「完走率の低さは水切れなどの不手際が一因」と認める」
まだ元気だった?オヤジは、出足快調で折り返しのタイムは1時間51分、だがあてにしていた給水所が無く、日差しがまるで夏のようで照り返しも酷い高速道路を、低速で進み1、2㎞先に移動していた給水所で救われた。
が、そこから先が地獄のはじまり。
日陰が全くない高速道路の路側帯にバタバタとランナーが倒れている。
山から染み出しているわずかな水に顔を押し付けている人、上下の車線を隔てる中央分離帯のガードレールがつくる影に隠れるようにうずくまっている人、道ゆくランナーに「水を持っていませんか」と幽鬼のようにすり寄ってくる人・・・。
救急車のサイレンがひっきりなしに響き、救護車が走り過ぎてゆく。
33㎞地点を過ぎて足がつり、砂漠のオアシスのような給水所で最後の1本みたいなペットボトルの水をもらって飲み、頭からかけ、両脚がつりながらも最後の日陰沼津トンネルに駆け込んでホッとひと息。
この時点で自己ベスト更新はなくなり、ゴールが見えているあと500メートルの地点で完全に足が動かなくなり、クソッ、クソッと自分の脚を叩いてようやく走り出し辛くもゴールした。
タイムは4時間34分53秒。
ゴールできたのが幸運、ゴールしたあとはしばらく動けなかった。
のちに静岡県知事が謝罪し、大会運営事務局からは参加者へ謝罪の手紙もきた、曰く付きの無観客の大会であった。
無観客の大会で救われたのがスタッフの声かけと、ボランティアの高校生たちの応援。
あ、そうか💡 無観客つながりか⁈
また不毛な緊急事態宣言下でオリンピックが開催されるという阿呆な状況で、無観客だ。
頑張っているアスリートたちはどんな状況であろうとベストをつくすだけだが、オリンピックという魔物に観客の応援というパワーが加わると思わぬドラマが現出するものだ。
それが空虚な無観客では😮💨
これ以上コロナが酷いことにならないように、アスリートにとばっちりがいかないように願うのみだ。
五輪はいったい誰のためのもの
見ている者ははいつもつんぼさじき
気持ちの悪い政治家どもが勝手なことばかり言い合って
時には無関心なこの僕でさえも腹を立てたり怒ったり
そんな時も僕はバーボンを抱くことができない
どうせ力などないのなら
酒の力を借りてみたくもなるさ
こうして今夜も病院のベッドで
記憶のバーボンで飲んだくれてる
病院のベッドでバーボンを
病院のベッドでバーボンを
今夜も眠れずに拓郎を聴いている
右腕の点滴は完全に外れ、24時間左腕に繋がっていた「ソルデム1」などの輸液も粥を食べはじめてなくなり、朝・昼・晩30分程度で終わる抗生剤だけになった。
針はまだ左腕に留置されてはいるが、点滴棒をガラガラしながら歩かなくてすむのでかなりラクだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/15/20be2c70df5450afba30f225dd96d62a.jpg)
入院21日目の本日、五分粥再開、そして腹いっぱい、なのにまだ体重は49㎏台。
膵臓のなかの腫瘍は白に近いグレーといっていいと「マリコ先生」から聞かされた。
さらに分析をするため東北大学にデータを送るので、退院してしばらくお待ちくださいと言われた。
「退院」という言葉をようやく医者の口から聞いた。
ま、仮釈放だけどさ😑