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お好み夜話-Ver2

解体終了 すっからかん

朝、現場=店へ行くとおっ!!

17年間外壁に付いていた巨大コテの看板が取り外され、入り口のデッキも無くなっているではないか。
 
本日は大物の厨房機器や鉄板などを搬出するので職人が5人来ていると言っていたが、

もう鉄板も冷蔵庫もコールドテーブルもないぞ‼️
 
職人から店の裏の駐車場に停めているトラックに積み込まれていると聞き見にいくと、

おおっ、エアコンの室外機もダクトも全部取り外されて積み込まれていた。
 
厚さ22㎜重量120㎏の鉄板ともこれでお別れ、コイツで何百枚何千枚のお好みを焼いたのだろう?
 
焼そばをそばめしを、とん平焼をいくつ焼いたのだろう?
 
酔っ払った連中が何度お酒をこぽし湯気を上げたことだろう?
 
何日何晩コゲや油を落とし、磨いてピカピカにしたのだろう?
 
コイツを作ってもらった鉄板屋の親父はすでに亡く、会社自体も廃業して存在せず、独自のガスバーナーは修理できずだましだまし使っていた。
 
戦時中なら軍に供出され鉄カブトや銃弾にされちまったろうけど、今は溶かされて何になるんだろうか?
 
何に変わっても元気でね、さらば鉄板👋
 
 
午後にまた店に行くと、ゴミは運び出され天井がバラされていた。

そして壁・床・天井がすっかりなくなり、
2階の床下の昭和の木材が顔を出した。
近頃じゃこんな材木はあんまり見なくなった。

この建物は東京大空襲を生き延びた戦前からある長屋のような建物で、2階の屋根の梁はお隣と繋がっていて壁一枚で隔てられている。
 
そういう事情だから家賃が安いという裏があったりして、ずっと休業していても何とか維持できたのだ。
 
「一等並」とあるが、けっこういい等級なんだろろうか?

施工費を抑えるため天井はふさがずにスケルトンでいこうかとも思ったが、どうしようかなぁ・・・。
 
工事が終わるのを待っている間に久しぶりに店の周辺を散策してみたが、知らない新しい店がたくさんできていて、若い人が行列するような店や、個性的なデザインの店舗、工夫されたメニュー、おしゃれなネーミング、コロナ禍を乗り越えどこも力強く営業している。
 
それを見ながら歩いて戻ってきて、すっからかんになった店の中を見渡し、時代遅れでポンコツなオヤジがこれからやっていけるのだろうかとちょっと不安になった。
 
以前のようにアイデアや気力が湧いてくるのか自信がグラついた。
 
うす暗くなってきた表よりさらにうす暗いすっからかんの店舗の真ん中にひとり佇み、心細くて誰かと話したい、酒を飲みたいと切なくなったが、一つ息をついてシャッターを閉めて家へ戻った。
 
 
夜、シャワーを浴びてふと腕を見れば、

また青アザが両腕にできていた。
 
近ごろは長袖だからあんまり注意していなかったが相変わらずこんな状態で、もし再開したら半袖だしみっともないよなぁ。
 
力をこめて両腕を使ったからできたのか、心労か、いずれにしてもこんな腕をお客さんの前に晒して調理するのは躊躇われるよなぁ。
 
ハァ・・・、課題満載、難題だらけ、だな。
 

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