お好み夜話-Ver2

嵐の夜に大娘誕生?!(第9夜 2005-09-10 10:19)

  
仕事終わりにたまに寄る、オヤジにとっての“最後の砦”ともいうべき、もつ焼屋さんがある。
生ビールがあるし、カシラとか、テッポウ、ガツ刺しも旨いし、グッときちゃうハイボールもある。
ただ、ゆっくり飲みたい時には、本格焼酎があるといいのだけれど・・・。

マスターはいい人で、芋でも、麦でも、米でもいいから、「なんか置いてっ」、と度々オヤジが言うものだから、置いてくれた。
「神の河」と書いて「かんのこ」。
樽熟成させてほんのり琥珀色した麦焼酎。
モグランポで一番最初に入れた麦焼酎。
感激です。

そんな訳で、“最後の砦”に行ったことのあるお客様について、つい話してしまう。
この間の、台風がじわじわと迫っている日曜深夜、常連さんの「A子さん」夫婦に話したら、行く気になってしまった。
二人そろってお酒も話も大好きだけど、もうすでに旦那さんは大量の生ビールと悪魔の酒「瑞泉43度」で出来上がってしまっている。

すると「A子さん」、いったん旦那さんを家へ寝かしつけてから“最後の砦”へ行くから、先に行って席を確保していてくれ、という。
そういう訳なら、仕方がない。
水没しそうな商店街を抜けて、かあちゃんと二人“最後の砦”の暖簾をくぐった。

先に一杯やっていると、ほどなくして、ばっちり着替えた「A子さん」がやってきた。
あらためて、乾杯。
「A子さん」は、声も大きいし、自分で自分を「A子」って呼ぶ人なので、けっこう人目を引く。

しばらくしたら、カウンターで私たちの会話を聞くともなしに聞いていた、オヤジの隣に座っている、歳の頃は40代前半、ちょっとオツムの毛に寂しい木枯らしが吹いてそうなお兄さんが、いきなり横から会話に参戦。

「あの、娘さん、A子さんておっしゃるんですか?」(満面の笑みで)
「は、あぁ・・・?」(オヤジ困惑。かあちゃんとA子さんの目を伺う)
「A子さんは、どんなタイプの人がお好きですか」(満面の笑みで)
「ま、まあ、お金持ってる人、かな・・・」(オヤジに納得の視線を送る)
「ま、そりゃそうだよな。今の時代。な、A子」(オヤジ了解)
「・・・そ、そうですよね、お父さん」(敵は手強しの照れ笑い)

哀れ、彼は完全に、私たち三人が家族だと思い込んでいる。
ちなみに、「A子さん」は、自分では18歳と言い張るが、三十路の坂をとうに登り詰めている、酸いも甘いも噛み締めている強者の世代だ。
そんな彼女を、このオヤジの娘っ!・・・・、てことは、わしゃ幾つなんだよ。

まあ、飲屋のカウンターのバカっ話。
当たり障りのない、よいしょも交え、和気あいあい。
しばらくして、彼がトイレへ立った。
我ら三人とマスター、声を出さすにお腹を抱えた。
ほどなくして戻ってきた彼。

「じゃあ、そろそろ俺、失礼します」(満面の笑みで)

一同、礼。

「A子さん、また合いましょうね」(泣きたいほどの満面の笑みで)
「ええ、おやすみなさい」(18歳になりきるA子さん)

彼は去った。
足音が遠ざかる。
爆発寸前で、一同顔を見合わす。
次の瞬間、大爆笑!!

以上、“最後の砦”における小芝居の一部始終であります。

タイトル「嵐の夜に、オヤジに大娘が誕生す」



そういや最近「A子さん」夫妻を見かけないなぁ・・・。
すっかり“最後の砦”にも行かなくなっちゃったし・・・。
それにしても当店には、年齢詐称する女性の常連さんが多いのはなぜだろう ?

あ、いや、貴女がたのことではありませんよ・・・、いえ、その、・・・いつ見てもお美しい・・・・。

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