お好み夜話-Ver2

ヨーコ

「おぢさん、飲もう。朝まで飲もう !! 」

ニッコニコして「ヨーコ」はそういったが、すでにどこかで飲んできていて、モグランポで南部美人を立て続けに四杯飲み誰がどうみたって酔っ払いだ。

一緒に飲んでいた「マミちゃん」は電車がなくなるからと先に帰り、勝手知ったる我が家で飲み明かそうと「ヨーコ」が急かす。

仕方がないから大急ぎでお掃除ビールを二杯飲み、レジを閉めて片付けて店を出て、かあちゃんと左右から「ヨーコ」の手を取って連行状態で家路を歩いた。

この21年間の間にどれだけの酔っ払いを連行状態で住まいへ送り届けたことか!(◎_◎;)

まさか「ヨーコ」を連行する羽目になろうとは、まったく想像すらしなかった。

「アタシは酔ってない」と上機嫌で笑い、親や世間への遣る方無い憤懣をまくし立てる、おぼつかない足取りの「ヨーコ」もとっくに三十路を過ぎた子持ち。

前回我が家に泊まった時はまだ寒い時期で、その時の冬用のパジャマがまだそのままだ。

いろんなことに行き詰ってどうしようもなくなると思い出したように店か我が家に来て、ただもうひたすら思いのたけを吐き出してスッキリして酔っ払う、というのがここ数年の「ヨーコ」のパターン。


あっ(・・?)長いおつき合いの常連さんともなれば、いろんな「ヨーコ」がかつていたことを知っているわけで、4、5人もいた「ヨーコ」軍団もわかっているだけで四人はママになり家庭を築いているが、この酔っ払いの「ヨーコ」こそが初代で小僧の同級生。

小さい時はご近所でしょっちゅう我が家でご飯を食べたり泊まったりしていて、高校生になってから店でバイトをしていたこともある。

まあそれから紆余曲折あって、家庭の事情やら何やらかんやらでシングルマザー。

人の家のことだから余計なことは言わないが、昔から知っている手前「親が悪い !! 」とだけ断言する。

「ヨーコ」も大雑把な性格で人がいいから、いろんなことを背負い込んじゃって身動き取れなくなっちまうのだ。


それにしても我が家は、訳ありな女子がよく転がり込む。

適度にほったらかしだから居心地がいいのか❓、身ひとつで川の字状態でも気にしない。

ただ朝うるさい小僧が誰か女子がいると、すごーく気を使って静かなのがいい。


さて「ヨーコ」は家についてもテンション高く、オヤジがシャワーを浴びているのにドアを開け、はやく飲もうと急かす。

いざ飲み始めると目がすわり、やがてトロンとして人の話しに生返事。

しばらくして大あくびをすると、オヤジがあぐらをかいている腿の上に頭を乗せ股間に顔を突っ込むようにして寝てしまった。

オイオイ、これでも一応現役の男なんだせ゛( ̄^ ̄) 恥じらいがないのかオマエは‼

実の父親には絶対しないであろうが、なんという無防備。

無邪気な顔でスヤスヤと寝息をたてているものだから背中をポンポンと叩いてやったが、三十路のムスメの頭は重い、かあちゃんはやく布団を敷いてやってくれぃ。

足が痺れちまう前にかあちゃんにおこされ、子供のように寝所へ連れて行かれたが、明日は何も覚えていないに違いない。

ひとりで飲み直したがぜんぜん酔えなくて、朝4時になって諦めた。


翌朝、「ヨーコ」は二日酔いで目覚め、オヤジが爆睡しているあいだに帰っていったそうな。

今度は何ヶ月後にやって来るやら❓

世の「ヨーコ」に幸あれ‼

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