お好み夜話-Ver2

13年目の決断


個人的に飲み屋さんを選ぶときの基準の一つに、生ビールを扱っているか否かがある。
まず、キリンかサッポロが置いてあるかどうか。
続いて銘柄。
人に誘われるか、セッティングされているときには、もちろんこだわらないが、好みの銘柄がなければ杯数は減り、他の酒に移る。

2軒目、3軒目に移ったら、また始めはビールから。
それまでの酒をリセットして、まずは生ビールから。
これがオヤジの流儀だ。

20代の頃、汗を流して働いている時、
「ああ、冷たいビールが飲みたいっスね」
などと先輩に言うと、
「生意気言ってんじゃねえ。鉄管ビールでも飲んでろ ! 」
などとよく言われたものだ。
「鉄管ビール」というのは、ただの水道水のことである。
昔は公園でもどこでも、蛇口をひねって口から水をゴクゴク飲んだものだ。
今じゃ「鉄管ビール」もなかなか飲めやしない。

その頃飲んだビールの銘柄に、「アサヒ」は皆無だった。
酒飲みの選択肢の中では、「アサヒビール」は「鉄管ビール」と同等か、それ以下だった。(ごめんね、アサヒさん hi )
が、時代は変わり栄枯盛衰のごとく、ダントツのシェアを誇っていた「キリン」の牙城は崩れ、それどころか、世の人のビール離れはいちじるしく、酒税対策の発泡酒や第三のビールに家庭の冷蔵庫は占拠されるというご時世。

人類が作った最古の酒=ビール ( ワイン=果実酒は自然の賜物であるので、人の手による最初の酒はビールだと、バッカスの僕は思うとります ) の復権を願って止まないオヤジは、モグランポ開店13周年の今年、ついにある決断をした。

1990年3月に発売以来、熱烈歓迎の大好き銘柄「一番絞り」に、最大のライバル「スーパードライ」の生をぶつけようと決めたのである。
キリン以外の生ビールをモグランポで提供しようと決断させたのは、他ならぬキリンの不手際が原因だ。
オヤジがキリン大好きだということに胡坐をかき ? ホッタラカシにした上に、不用意な発言をされたことに、腹がたった。
キリンのビールは好きだが、会社や営業が好きなのではないということを、この際はっきりしておこう。
キリン系列の「バドワイザー」も「ハイネケン」も知らない若者があまりにも多いので唖然としていたので、これまでやっていた「きまぐれ生ビール」もこれをもって終了する。

「一番絞り」は今年の春から麦芽100%にリニューアルするのだが、このタイミングで「スーパードライ」と勝負させるというのはとても面白いと思うのである。
オヤジが好きだからといって、お客様もそれが好きとは限らない。
お客様が「スーパードライ」を喜んでもらえるのなら、それをベストな状態で出すのがこちらの仕事だ。
銘柄が変わったからといって、へなちょこな注ぎ方は絶対しない。
へなちょこの注ぎ方で泡もへたったどこぞのチェーン店とは、ビールに対する愛が違うのである。
昔は「鉄管ビール」だったとしても、今じゃ首位の「アサヒ」の主力商品だ。
まずかろうはずがない。
それに、ひょっとするとお好み焼との相性はこちらの方がいいかもしれない。

今のところの予定では、今週末には完璧な「スーパードライ」がサーバーから注がれるのである。
そのためにいろいろな問題を解決する必要があって、頭が痛いだとかなんとか言ってられないのだ。
サーバーが設置されたら、何度も注いでみて、飲んでみないことにはわからないこともある。
「一番搾り」とは樽の口径も違うし、ガス圧も違うし、なんせ、「スーパードライ」を自ら注ぐのは初めてなのだから。
この体調で、飲まないように抑えてはいたが、こればかりは試してみないことにはラチがあかない。
いや、むしろ積極的に飲みたいのである。
注ぐからには「旨い ! 」と言わせる生にしたいのだ。

CMの受け売りのようだが、すべては一杯の「旨い ! 」のために。

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