雪をも溶かす天然Love

バレンタインデーという、日本国民がお菓子メーカーに踊らされる日の夜、雪はしんしんと降り積もり、「ユイたん」とママの合作のチョコや、「砲丸投げ子」の手作りチョコを頂いたオヤジはそれだけで満足で暖かかった。

しかし、さらにHOTなふたりがやって来て、カウンターはヒートアップした。


去年の4月以来なんの音沙汰もなかった、「日本天然党・総裁」の「ヨウコリン」が、毎度のごとく入口の引き戸を細目に開け、そぉ～っと覗き込むお馴染みの仕草で入ってきたのだ。

しかも、男連れで !!

殿方に触れられただけで真っ赤になり、ヒャァ～、ヒャァ～いって肩を上げまくるド天然な純情派の「ヨウコリン」が

聞けばなんと、婚約者で、来月には結婚するのだそうな

「今に見ていてください、知的でスリミーなワタシになって、白馬に乗った殿方をお連れしますから」

と宣言したがなかなか果たせず、

「ええ、ええ、どうせワタシはご近所のミズキアリサ、隣の席のヒロスエリョウコと呼ばれていましたけど、今じゃすっかりちょっと年上のウエトアヤですもの」

などと調子こいて、

大人のワタシはビールも飲めると、一番搾りをグビッとやってクゥゥ～～ッと悶え、おでこをピシャピシャと叩いていたあの「ヨウコリン」が

「やっぱり馬のビールはうまいっすね」

と、麒麟を馬と言ってしまう「ウッパチ」な彼女が

【注: 「ウッパチ」とは「ウッカリ八兵衛」のことで、うっかりミスをしでかしたときなど、額をピシッと叩いて「しまった、ウッパチしちまったい」と使うヨウコリン用語のひとつである。】


よもやこんな展開になるとは想像もしていなかったオヤジとかあちゃんは、ただただ彼女の親御さんになった気分で、この娘をもらってくれてありがとうと、白馬には乗ってなかったが、誠実そうでおとなしそうに見える「旦那さん」に何度も言ってしまうのだった。


彼女が旧ブログに『超天然・肩上げ「ヨウコリン」』として登場してからはや5年、いろんなコトがありました。

その頃よりカウンターの顔ぶれが大分若くなったけれど、思えば彼女も今の彼らと同じくらいの歳だったのだ。

相変わらずのハイテンションなひとりツッコミ、ド天然発言は衰えもせず、

「もうお腹の中に子供が入っているのかい ? 」

との追求に、汗をかきまくり、視線がうつろになったりして、

「ええまあ、その、こればかりは天の授かりものでありますからして、ワタクシも新妻になるわけですからして・・・・」

と、歯切れは悪いが、どうやらまだらしい。


今年は初っぱなから、嬉しいことばかり続きだ。

いやいや、まさか「ヨウコリン」がねぇ。

おめでとう !!


日本一のド天然新妻