お好み夜話-Ver2

ナオトとノリピー

嗚呼、なんということだ 

「ノリピー」は、いったいどうしちゃったんだろう 


なんてことをつらつら考えていたら、なんの前触れもなく「ナオト」が来た。


オヤジは時々こういう偶然に出会うので、ちょっと予知能力でもあるんじゃないかと思ったりする。


なぜ「ノリピー」と「ナオト」が繋がるのかというと、遥か昔のお勤め人時代に遡る。


その時までオヤジは、アイドルの「ノリピー」には何の興味もなく、巷で「ピー、ピー」言っているのをうっとおしいと思っていたぐらいで、顔と名前と歌もまるで一致していなかった。

ある日、銀行のウインドーに“グッときちゃう”女性のポスターが貼ってあった。
通りすがりにそれを見て、あの娘はだれだ  と、会社に戻って同僚に聞いてみたら、それが「ノリピー」だった。


う~ん、あのポスターが欲しい 


こういう時に便利な“下っ端”、つまり「ナオト」くんに、上司面して命令した。

彼はしぶしぶ(そりゃそうだ)取引も何もない銀行に行かされ、「ノリピー」のポスターをくださいと言って、銀行員に見事に断られ、シッシッという感じで追い出されたのだった。


その後そのグッときちゃうポスターは、電車の中吊りとなって会社の行き帰りにオヤジの目を和ませてくれたのだが、飽くなき欲望はまたしても可哀想な“下っ端”に向けられ、次の指令を出してしまうのだった。

「あの中吊りをとってきてくれたら、500円あげよう  」

現金なもので、賞金がかかると人は恥じらいと罪の意識がなくなるのである。


「ナオト」は早速ポスターをゲットし500円を稼ぎ、そればかりか他の部署の“下っ端”にまでそのウワサが広まり、オヤジは数千円の出費をして、「ノリピー」ポスターを大量入手したのだった。

会社中の“下っ端”たちは、オヤジから稼いだ500円を元手に、渋谷の焼き鳥屋でどんちゃん騒ぎをしたとか、しないとか・・・・・・


それからしばらくして、オヤジの悪名は会社中に知れ渡ることとなり、島流しにあった。


青山一丁目のショールームに併設された事務所に幽閉されたオヤジは、しかしここでもまた「ノリピー」ネタと遭遇するのであった。


ショールームをご案内する係の派遣の娘が、出身が堀越学園で、しかもなんと「ノリピー」の同級生だというのだ。
マンモスうれピー



年甲斐もなくその娘に、

「なんか写真はないの ? ぷらいべぇとな写真をくろさい」 

などと、おねだりだりだり攻撃をした結果、

「いいですよぉ~」

と、じつにあっけなく生写真を2枚頂いちゃったのである。


それがこちら →       と、お見せしたいところであるが、今ゃ渦中の人だけに、もうちょっとほとぼりが冷めてから、ということで 


その写真の「ノリピー」は、化粧っ気もなく無防備で、じつにアイドルらしくない。
それが今じゃ容疑者だなんて・・・・・・



それはそうと・・・・・
真面目で誠実な酔っぱらいの「ナオト」くんは、数年前からちょっと患っていて心配だったけれど、会うたびに元気になっていくようでホッとした。

もうとても“下っ端”などと呼べない歳だけれど、相変わらず“あんちゃん”みたいな格好をして、愛妻と顔を見せてくれた。

ここで改めて、昔の理不尽なオヤジを顧みて、謝辞を述べさせてもらいたいと思います。


「ナオト」くん、
「ノリピー」の件ではごめんなさい。


ゆっくり、がんばらず、こだわらず、静養して、ふたたび毒舌に耐えられるようになってください。
そしてまた、旨い酒を飲みましょう。


オヤジ 軽薄     もとい、 オヤジ 敬白

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