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本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

◇ 田中仁彦「ケルト神話と中世騎士物語」

2023年08月12日 | ◇読んだ本の感想。
安定と信頼の中公新書。
ここ20年くらい雨後の筍のように新書のレーベルが乱立して、
内容の薄さが酷いと思っているんだけど、
レーベル乱立時代より前からしっかりとした本を出していたのが中公新書。
岩波新書と並んで、今後も新書の良心として高いレベルを保ち続けていただきたい。

というわけで、今回のクオリティも満足。

本作で初めて知った話が多くて驚いた。
ケルト神話には興味があるので折にふれて10冊近く読んでる気がするんだけど、
なんでこんなに知らない話ばかりなんだ。

おそらくわたしが読んだケルト神話の本はアイルランド主体のものだったんだな。
クーフーリンとかダナ女王とか……いまいち記憶は定かじゃないけれども、
そこらへんは何度も読んでいる気がする。

それに対して本作は大陸のケルトの神話、具体的にはブルターニュあたりの
伝説を拾っていた気がする。イスの国なんて初耳。

全体的に文章が好きだったんだよね。さらさらと自由に語っているような。
構えずに読める。一から十までを順番に教えてくれる新書というよりは、
もう少し断片的に。しかし雰囲気は良く。
ケルト神話に、わたしは荒々しさを感じていたけれど、
もっとロマンティックな側面を見た気がした。
ブルターニュのケルト神話をもっと体系的に読んでみるべきかもしれない。
面白い本を、どうもありがとう。

この人は訳はあるけど著作はそんなにないようだ。2、3冊。
課題図書リストの最後に回して後日読みます。多分8年後くらいに。




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