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プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

◇ ケン・フォレット「大聖堂 果てしなき世界 上中下」

2015年01月23日 | ◇読んだ本の感想。
「大聖堂」の続編と言えば続編だが、キャラクターはほぼ繋がりがないし、
年代も数十年隔たっているし、まあ同じ作品世界を共有する別な物語という感じ。
なのでそれほど続編ということを意識しなくてもいい……というか、期待しちゃいかんと思う。

ちょっとタイトルが疑問かな。
このタイトルを読んだ時は、「大聖堂」の舞台裏というか、制作過程のエッセイかなと思ったもんで。
そしたら、上中下で、前作を超えるボリュームのやはり小説らしい。
まあ前作が総合的に面白かったので、全然無警戒で読み始めたのだが……。




読まなきゃ良かったです。




今回も前回と同様の力量は感じる小説だが、前作でわたしが嫌いだったところが今作でますます傾向が強まり……。
要は、善玉側への試練がひたすら繰り返される話。延々と。
600ページ超えの上中下3巻でだよ!!善玉側がようやく幸せになるのが、ラスト30ページ!
それまでずっとツラいんだよ!どうなのそれって!!!

わたしはツライ話やコワい話や、痛い話が嫌いで、しかも善玉側に密着して読むタイプなので、
読んでいてストレスが溜まりまくり。中巻で読むのを止めようかと思ったのだが、
この段階で止めると永遠に悪いイメージが残り続けるし(←オオゲサ)、それもツラいんだよね。
もう少し読めば中休みが来て少しはホッと出来るかもしれないと期待して読み続けていたところ、
……中休みなしでホントマジでラスト30ページだけですからね。善玉側がようやくメデタシになるのって。

しかも何しろ30ページでその幸せを面白く書けるわけないじゃん?
幸せ状態がほんとおざなり。白雪姫(シンデレラでもいいが)で、
“その後、お姫様と王子様はお城で幸せに暮らしました”並みのほぼ無意味な収束具合。
美味しいところがちょっともない。ここまで苦しませてそれで終わるってどうなの!?

それに、前作ではまだ敵役もそれなりに状況がわかって、悪役は悪役なりの都合があって、
概ねそれなりの器量を備えているのに対して、今回の悪役は単に悪役ってだけだもんね。
エルフリックもフィルモンもゴドウィンも、ラルフも、全く器量はないですよね?
それなのに悪役にばっかり都合がいい展開になっていて……。
わたしは主人公を猫っかわいがりする小説もキライだが、悪役ばっかり都合がいい話もキライだわ。


なんかなあ。ケン・フォレット。前作のセルフパロディ……とは言わんけど、二匹目の泥鰌感があるなあ。
上手い作家は、上手いと思うけど(面白さも感じるけど)、上手さが鼻についたりするんだよね。
東野圭吾とかと同じ。読者のニーズがわかっていて、それに合わせて完璧に仕上げるというか。
今回も伏線の引き方とか回収の仕方とか、……前作同様見事だけど見事すぎて飽きる。やりすぎ。

わたしが読むべき本ではなかった。1800ページひたすらストレス……。
こういうことがあるから、読書というのは性質が悪いわ。




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