このイベントは株式会社タグボートが主催のブース型のアートイベントで、今年で15年目を迎えるという今回は184組が参加していました。
工芸を違う形で表現したいと思っていた私は、まだ何ができるかもわからない年明け時点でたまたま見つけたこのイベントに参加することを決めて制作を開始しました。
こうしたアートイベントを見に行ったこともなければ参加するのもはじめて。
そもそもアート作品をつくることもはじめて。
アートの意味すらわかっているか怪しい…そんな状態でした。
これまでは凛九の活動がメインで、展示もグループで企画して準備をしてきました。
今回はたった一畳分のスペースですが、1から10まで1人で行うのはこれまたはじめてのこと。
作品搬入を持ち込みでなく送ることもはじめてで、梱包には苦戦しました。
これまで小さな作品ばかりつくっていたので、平面とはいえひと抱え以上ある作品をどう衝撃に耐えつつ傷がつかないようにするのか…結果としてスタイロフォームで固定するやり方はほぼほぼ成功しましたが、もっと時間をかけて準備できれば、よりいい方法はあっただろうと思います。
展示も今回は与えられた空間にただただ並べて飾るだけで手一杯でしたが、真っ白な壁は果たしてそのままでよかったのだろうか…という疑問を始まってからずっと抱いていました。
というのも周りのアーティストさんがそれぞれ黒い布を掛けたりペイントしたりといろいろ工夫されてるのを見て、今回の展示は空間で見せることをテーマとした割に、空間づくりができていないことに気がついたからです。
しかし今回いちばん苦労したのは「漆」という素材に気づいてもらえないという点でした。
グランプリに選ばれた作品はアクリル板を重ね合わせた立体作品で、その他にもアクリル板を用いた作品が数多く出展されていました。
その中にあって、「あ、これもアクリルね」と目の前を素通りされていくお客さま…
片っ端から捕まえては作品説明をさせてくださいとお願いして、立ち止まってくださる数少ないお客さまにだけはなんとか漆であることの説明をすることができたものの、おそらくその他の多くの方の中では「地味なアクリル作品」としてしか認知されていなかったことでしょう。
それがとても悔しかったです。
今回は工芸ではなく現代アートというジャンルなのだからあえて漆であることを主張するのはやめよう。
展示するにあたり、私が最初に決めたことでした。
しかしそれは間違っていたなというのが今回の印象です。
素材が漆であることを知ると、皆さん揃って興味を持ってくださいました。
作品の近くへ、一歩前へ歩み寄ってくれるのです。
(初挑戦を終えてー見えた課題と強みー②へ続く)