31階に到着し、エレベーターを降りると飛び込んできたのは一面の青だった。地上約125m。日本海側随一の高さを誇る展望室から見る日本海は、静かにそこにあって、空の青を映していた。
展示を見終わった後の私も、この日の空と同じように晴れ晴れとしていた。庵野氏の、純粋に映画やアニメーションづくりを楽しむ姿に感動したし、何よりもどうやって庵野秀明という人間ができていったのかを知ることができたのがよかった。
高校生の頃に製作したアニメーションはすでに完成されていて、時間がないのをわかっていてもつい最後まで見させられてしまう魅力があった。作品をつくることに真っ直ぐな姿を見ていると、自分自身も童心に返ったような心地がしてワクワクするのも嬉しかった。
1時間では到底見きれない内容にお腹いっぱいになりながら、ミュージアムショップで足早にグッズを買い込み、よしっと気合いを入れる。この後は旅のいちばんの目的、村上市が待っている。
〝いなほ〟に乗り込み、甘すぎないタレに薄切りのカツがほどよい〝とんかつ政ちゃん〟のタレかつ丼を頬張りながら、いざ村上駅へ。
展示でお腹いっぱいなのに、美味しいものはスルスルと入っていくのだから不思議だ。意外とあっさりしていて、もたれることもなく、ぺろっと平らげてしまった。
しばらくすると車窓から望む景色が、どことなく名古屋駅から伊勢市駅に向かう近鉄電車から眺める景色と似ているように思えてきた。
新潟県も三重県も細長いからな、なんて言うとどちらからも怒られそうだ。
次回【新潟巡り(3)村上市】