先週あたり、こみちらでは萩が満開でした。
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地味な花ですよね、萩。
飼主もずっと気にしていませんでした、最近までは。
近くによらないと、花が眺められないのです。
咲き始めから散り出す萩の花は、他の花と違う楽しみ方をしなければ
ならないとやっと分かったのです。
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すなわち、萩は散り様を見るのであります。
「秋萩の散りのまがひに呼び立てて、鳴くなる鹿の声のはるけさ」万葉集
ほら、万葉集の頃から萩は散り様を眺めるものだったのです。
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ところで、「散りのまがひ」とは素晴らしいセンスです。飼主の頭をどう叩いても
出てこない、天才的な詩才と言えましょう。
花が落ちていくところに単に鹿も鳴いているというのではないのです。
鹿の遠音、尾を引くように鳴きます。身体は大きいくせに草笛みたいに細く高い声で鳴きます。
鹿の声が萩の落花に混ざり混んでくることで、垂直の花の動きに「遥けさ」の距離を思わせる
奥行きの方向が見いだされ、目前の花への意識が鹿もどこかにいる風景になって、花を見ている
自分も景色の中に取り込んでしまいます。この意識のジャンプの秘密が「まがひ」だというのです。
「交がひ」によって動いている今が象徴的な「景色」に織物のようにして変換されていく。
この時間のシンボライズこそが詩なのです。
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日本の美の秘密だよね。うるにも分かるよ。日本の猫だから
ええと、文化の日の前後に合わせて、それらしい話題にしてみましたよ。
【うるが鳴いても絵にならない、と】
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