東地中海シリアに君臨する十字軍の城、クラック・デ・シュバリエが壮大なのは地上部分
だけではありません。包囲攻撃に備えて、内部の人員が5年間堪えられるだけの備蓄が
地下部分にあります。キリスト教世界の総力があらゆる敵に対する備えをこの城に与えた
のです。
この巨大城塞に空から近寄ってくるモノがあります。
全長約1000メートル、体重約700万トン。
かつてこの城を脅かしたいかなる攻城兵器よりも巨大で圧倒的な
生き物が襲ってきます。
紙の城を襲う猫
その生き物の毛は無数にあって、一本の太さは馬を繋ぐロープのようで、顏から
伸びた鋼のような髭はあらゆるものを薙ぎ払います。
その舌には逆茂木のような突起がいくつもあって、物見塔の弓兵をまとめて四人ほど
舐め取っていってしまいます。
その手には攻城鎚のような爪がいくつもあって、城壁をひとかきすると、積み上げた石
が刈り取った穂から麦の種をはがすように、ばらばらと落ちていきます。
その鼻息に踏み堪えられる馬はなく、天に向かってひと鳴きすると、星も落ちるかと
思われます。
数千年前、ウガリットの人々が記録したローターンの龍は神を恐れさせた。
それを退治したという神バアルはいない。絶望せよ。十字軍の城は猫のつめとぎに
なってしまうのだ。
【超巨大うる】
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