ーーー好奇心の赴くままに論文を読み続けてると、
ときどき『読んだ論文が大学教材に引用されている』なんて現象が起こる。
同じ頻度で『教材が引用している論文を検索する』なんて現象も起こる。
それが果たしていいことなのかどうかはわからないが、
心理学の成績はまぁまぁいいほうなので良しとしよう。
2011年に発表された論文によると、知的好奇心は能力・性格に次ぐ成績向上の第三の柱なのだという。
知的好奇心とは物事を知りたい・知識を得たいという純粋な欲求であり、高ければ高いほど身の回りにある細かい事象にも興味を持てるようになる。で、発生した欲求を解消するために自発的な学習や情報収集が促され、結果的に成績向上につながるらしいのだ。欲求が高ければ高いほど自発的な学習の質量も増えていき、より高い成績も望めるということになる。
また、自発的な学習はそれを維持するだけの粘り強さや胆力が必要となるため、性格特性のうち物事をやり抜く誠実さを示す良心性と知的好奇心には正の相関があり、また良心性は成績向上と関係があるという。
ちなみに、能力とは一般的な認知機能、つまり物事の理解の速さや達成可能な問題解決の難易度にかかわるステータスであり、成績と直接的かつ強力な関係にある。能力は知的好奇心とはかかわりがないが、良心性とは若干の相関があるという。
これらの知見を要約すると、知的好奇心は「学習のきっかけを作る」、良心性は「学習を持続させる」、能力は「学習を滞りなく行う」ためのものであり、それぞれが独立した『柱』として成績にかかわっている、ということになる。
またこれらの関係をひとまとめにすると【能力+好奇心*良心性】という式ができる。能力が成績にかかわる基礎ステータスであり、バフステータスとして好奇心や良心性があるといったイメージだ。
正直に言うと、好奇心や良心性がなくても能力が高ければそれだけでもごり押せるが、そんなことできるのは好奇心や良心性が確約されるだけの能力を持つ人ぐらいであり、私たちのような凡人には不可能である。
ゆえに、学習をするうえで知的好奇心を育てるのは非常に有意義なことであり、それを証明した今回の論文もまた非常に有意義なものなのだ。
参考文献
Sophie von Stumm,Benedikt Hell et al. (2011) The Hungry Mind: Intellectual Curiosity Is the Third Pillar of Academic Performance.
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます