ばりん3g

マイクラ補足 兼 心理学のつぶやき

自己効力感は成績を上げるが、自己効力感そのものが成績を上げているわけではない。

2021-08-30 | 旧記事群

2004年に発表された論文によると、自尊心と自己効力感は相関関係にあり、自己効力感は学業成績を向上させる1つの要素であることがわかったそう。

また自己効力感は過去の成績や成功体験から発生し、将来の学業成績に影響することもわかったそう。

 

自己効力感とは特定の物事を達成したりする能力に対する自己評価の度合いを指し、ちょうどやる気を出すために必要な『自律性』『関連性』『能力』という3つの欲求の総合的な満たし具合を示す言葉でもある。

「自分のちからと判断で物事を解決した」

どんなに小さなものであっても、そう言える経験は確実にやる気へとつながっていく。経験が積み重なるほどにその強度は増し、より大きい困難を乗り越えるための支えともなる。

 

が、自己肯定感そのものが成績を直接上げている、能力を上げているとはちょっと言い難い。

何故なら自己肯定感とは自己評価であり、歪んだ認知で形成されることもあれば、その場その場の環境で簡単に揺らいでしまうものでもあるからだ。

同じように形成される自尊心がそうであるように、自己肯定感はあくまでも自己評価、個人のやる気を発生・維持できるものに過ぎないのだ。

……だからこそ、自己効力感は成績に影響があるといえるのだが。

 

自己効力感がなければ、つまりやる気を出すための3つの欲求が満たされてなければ、人間は基本的に特定の物事へのやる気を失う。

その物事が自分のちからではどうにもできないと判断した場合、あるいは指示や命令で強制され自律性をも奪うような状況の場合、その物事への関与を回避する傾向が出始めるのだ。

物事への関与を回避していれば、物事に対する行動も、それに伴う能力向上も見込めない。成績も上がらないし、成功体験も得られない。

やる気を、自己効力感を無視すれば、その物事に関与する意義すら簡単に見失ってしまうのだ。

 

自己効力感や自尊心は学業成績や能力そのものをあげる要素ではないが、学業成績や能力を上げるための行動を維持する要素ではあるのだ。

だから自己効力感や自尊心は重要なのだ。

 

 

参考文献

 Lane, John; Lane, Andrew M et al. (2004) SELF-EFFICACY, SELF-ESTEEM AND THEIR IMPACT ON ACADEMIC PERFORMANCE.



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