2005年に発表された論文によると、ステレオタイプ(大衆に広く知れ渡る根拠のない思い込み)をきっかけとした思い込みが原因となり、人間は行動が制約されたりパフォーマンスが低下するのだそう。
例として、『女性は数学が苦手である』というステレオタイプを抱える女性は、実際に数学が苦手な傾向にあるという。
何故か。
女性は『女性は数学が苦手である』というステレオタイプを抱えたことにより、自分は数学が苦手なのかと悶々と悩むことになる。
悩むことで低下した認知能力、それにより低下した数学の成績を見て、女性は「やっぱりそうなんだ」とステレオタイプを強化してしまい……以下無限ループという流れだ。
ステレオタイプという根拠のない思い込みを連想できてしまう環境に身を置いたとき、そのステレオタイプがどれだけ頓珍漢なものであっても、人間はそれをきっかけに思い込んでしまう。
そしてその思い込みや反芻は小さいながらも認知能力を削いでゆき……ステレオタイプどおりの、悲惨な結果を招くことになる。
また、同論文にはステレオタイプによる能力低下は自己肯定感によって解消できるともある。
これはつまり、『女性は数学が苦手である』とささやかれた女性に、自分の誇らしいところを1つ挙げてからテストに挑ませれば、ステレオタイプによる成績低下が観測されない、ということになる。
実際にも、そのような傾向がみられたとか。
この辺りの仕組みはまだ不明瞭だが、ステレオタイプが自己肯定や自己の存在意義を脅かすものであるため、恐らくそこと関係があるのだろう。
ーーー知るということは、良くも悪くも揺さぶるものだ。
知ってしまったことにより、自身を追い込むものもある。
もちろん、その逆も存在するのだ。
参考文献
Andy Martens,Michael Johns (2005) Combating stereotype threat: The effect of self-affirmation on women’s intellectual performance.
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます