2018年に発表された論文によると、成長マインドセットは能力や成績の向上には関与しないが、批判的な意見への受け入れを促しているとのこと。
成長マインドセットは能力や成績を向上させる手段や道具ではないけど、考え方ではあるから物事の受け入れ方や認知のしように影響してそう作用するのでは、という見解だと。
成長マインドセットとは、考え方。
努力・経験を積めばそれ相応に能力も上がり、自分を変えていけるという肯定的な、考え方。
世間や特定の業界では良いモノとして扱われ、人間の成長に不可欠な要素だと信じられていた、考え方。
一部では過度なまでに焦点が当てられ、「やれば、できる」という惹かれやすいキャッチコピーまで作られた、考え方。
それ自体は別に悪くもなんともない、だから伝搬するには別に構わないんだ。
ただこれには『考え方』特有の問題が付きまとうんだ。
成長マインドセットとは、考え方。
それ自体が能力を向上させる手段でも、成功までのチャートでも、計算や問題を解く公式でも、やる気のない子どもを矯正する算段でもない。
ただの気の持ちよう、こうでありたいという思い込みに過ぎない。物事を進める手段や道具や資産ではないのだ。
どれだけ変わりたいと、行動したいと願っても行動できるだけの環境や条件が整っていなければ、願望は願望として謳われるだけとなる。
志は素晴らしいのにかなえるだけの何もかもが足りず潰えた例は嫌というほどあるし、おそらく嫌になるほど経験してきたはずだ。大なり小なり。
ただ、成長マインドセットはとは、考え方。
自分は努力次第で変われる、成長できるという肯定的な考え方には変わりない。
肯定的な考え方や気分は、現実的な判断や認知能力の維持に関係があるとされている。悲観的な気分で認知や判断基準が歪むという現象の逆説、と捉えたほうが分かりやすい。
悲観的な気分で認知が歪むことがないように、特に批判的な意見を歪んだ形で捉えることがないように成長マインドセットは効き、またそれにより批判的な意見をそのままの形で受け入れられるようになるのだ。
成長マインドセットとは、考え方。
それ自体は便利な道具でも能力アップの魔法でもないが、物事のとらえ方や認知のしように深くかかわっている。街中で喧伝されているように、成績を残すためには有利になるかもしれないものだ。
ただ、成長マインドセットそのものが成功にかかわっているわけではないので要注意。そこの認識が歪んでいたら、マインドセットでもどうしようもない。
参考文献
Maria Cutumisu (2018) The association between feedback-seeking and performance is moderated by growth mindset in a digital assessment game.
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