2013年に発表された論文は、成績のいい人にも能力の誤認が確認され、経験が適当な判断基準になりえないことが間接的に証明されたとしている。
以前「能力の低い人は自分の能力を正しく計ることができないから、とっても調子にのってしまう」ダニングクルーガー効果というものを話した。
その対策として『とにかく知ること』をあげたが、ちょっと補足。
人間には、知ったら知ったでまた別の問題が憑りつくことがある。
その問題とは、自身の能力の過小評価。
物事のかなりの割合を知ると、人間は自分がどれだけ知っているかを事細かに知れるようになる。もちろん、自分が知らないことがどれだけあるのかも正確に、事細かに計れてしまう。
無知である範囲に目標を立て調べれるのならまだいいが、あまりにも物事を知り、あまりにも知らないことを知ってしまうと「自分はこんなにも知らないことがある、なんて愚かしい」と自責の念に駆られてしまうのだ。
そして自分が無知であることを理由に、自分の能力を過小評価し、偽物だと決めつけてしまうのだ。
この「知りすぎたが故に知らない自分を責めてしまう」現象をインポスター症候群ともいう。自分のちからを、自分が信じれなくなるのだ。とってもつらい。
過ぎたるは猶及ばざるが如しとは、よく言ったものだな。
対策は比較だ。
自分が今どれだけの能力を持っているかを客観的な数字で計り、能力を計るものさしを一般化させることだ。客観的な数値とは言うが、身近な人や親しい人からの評価でもいい。
「自分はこんなにも知らないことを知っている」と言えることがどれだけすごいかを、思い知るがいいさ。
参考文献
ThomasSchlösser et al (2013) How unaware are the unskilled? Empirical tests of the “signal extraction” counterexplanation for the Dunning–Kruger effect in self-evaluation of performance.