2012年に発表された論文によると、人間はグループで活動する際、自分は劣っていると思い込むだけで認知能力が低下するらしい。
知能指数や実績などの事実をもとにしても、そうでないこじつけであっても。
何らかの方法でグループに属している人間をランク分けした場合、「自分はこのグループの中で能力が低い人間だ」と自覚した、或いは証拠を見つけた人間はもれなく認知能力が低下する。
認知能力の低下が実際の作業にどう影響するかは人次第だが、少なくとも認知能力の低下は自分が無能である証拠をより集めるようにもなる。自他の実績を歪曲して捉え、そして落ち込む。
ここからは無限ループだ。グループのメンバーが止めない限りどんどん落ちていくぞ。
そして厄介なことに、グループに属している人間をランク分けした場合、最終的にはグループ内が『有能』と『無能』に分けられてしまう。
実績がこれらの区分けを後押しするのは稀だ、たいていはレッテル張りとステレオタイプによって構築される。
そして低下した認知能力は、思い込みによってできた軋轢に火花を散らす。
あっという間にグループの崩壊だ。時に暴力を伴うことにもなるだろう。
これらはあくまでも最悪のケースだが、ありえる話だ。
思い込みは人間を狂わせる。偏見や差別がそうであるように。
特記する状況でもない限り、グループのランク付けは避けるべきだろう。
そして、思い込みに悩み伏せるメンバーを見かけたら、そのメンバーが残した事実と実績で強めにぶん殴れ。「キミは無能ではない」と。
もしくは……友情や信頼と語られる文言を投げかけるとか?
参考文献
Kenneth T. Kishida et al. (2012) Implicit signals in small group settings and their impact on the expression of cognitive capacity and associated brain responses.
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