2007年に発表された論文によると、感情に対する反応と愛とお金に対する反応には、男女で若干の違いがあることが分かった。
具体的には、
・女性はポジティブ/ネガティブな感情どちらにも反応するが、男性はポジティブな感情に引っ張られやすい
・愛とお金がトレードオフな環境の場合、男性はお金を、女性は愛を大切にする傾向がある
とのこと。
よく『男女における価値観や思考プロセスの違い』は話題に挙がる。
男性は理性的で、女性は感情的で。男性は視野が広く、女性は視野が広い。男性は競争を好み、女性は安定を好み。やんややんやとそんな主張が飛び交う。
主張をかたどるそれらしい論理と体験談はあるが、数字と客観的指標が少なく、また言い合う両者ともに歩み寄る気がないのでこれらの論争には切り口がない。これらの主張がステレオタイプと化すぐらいには、この論争は延々と続いている。多分これからも続く。
「あっちが理解する気がないから!」なんて、理解する気がない人の常套句ですよ。
で、実際に男女における価値観や思考プロセスの違いはあるのかと、客観的指標を用い計った研究は数多い。
そして、そういった研究の多くは確かに性差を求めだせているようだ。今回紹介した論文がその一例だ。
ただ、言い争う両者にとっては残念な報告になるだろうが……
そうやって求めだされた値のほとんどは、非常に微々たる差分を示すものだ。分野によっては、ほぼ無視できるほどに小さい差分なのだ。
今回取り上げた論文にも「明らかにされた微妙な違い」と注意書きがある。
ぶっちゃけ、性差の値は個体差のそれにかき消されることが多い。
価値観や思考プロセスにおいては、性差は独立したパラメータではなく、個体差のパラメータの1つに『性差』がある、というイメージが適解だ。
だからそういった言い合いにおいて「男性だから」「女性だから」という主張はかなり的外れなのだ。
あ、肉体的や物理的なお話は別ですよ。あれらは決定的に違うのでね。
参考文献
David Nicoladie Tam (2007) Gender difference of emotional bias in sharing love.
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