という訳でハロウィンss皇双子ver.です
「昴流っ、トリック・オア・トリート!」
元気な声と共に部屋に入ってきたのは昴流の双子の姉・北都だった。
いつもの事だが北都は前触れもなく部屋に入ってくる。
昴流は昨夜は遅くまで仕事をしていて先ほど4時間ほどの睡眠から目覚めたばかり。
祖母の言いつけ通り自分の手を見られないようにするため急いで手袋を身につけた。
そこでようやく先ほどの北都の言葉を思い出そうとして耳慣れない言葉に首を傾げた。
「北都ちゃん。とりっく、おあ……?」
「……!」
昴流の言葉に北都は驚き一瞬固まったのだが直ぐに我に返った。
「昴流っ。それは若者にあるまじきセリフよっ」
ビシッという効果音がつきそうなほど勢いよく言葉を発した。
こういった傍から見ると責めている様にしか見えない行動も北都なりの心遣いだ。
小さい頃から修行に明け暮れていたせいか昴流は世間の話題に疎い。それは仕事の事も含めて仕方ない事だと北都は思っている。
しかし昴流本人の意思は『普通』であることを望んでいるのだ。北都としては愛する弟の意思を大事にしたい。
北都は少しの間、どういう風に説明しようかなと考え、ハードルを目いっぱい下げてみようと思い立った。
とりあえず、ハロウィンは知っているの? と昴流に問うと、聞いたことはある。と言う答えが返ってくる。
「『トリック・オア・トリート』っていうのはハロウィンで使う言葉で『お菓子をくれなきゃイタズラするぞ』って意味なのよ」
「流石北都ちゃん。何でも良く知ってるね」
昴流は北都の説明を聞きながら心底感服していた。いつもの事ながら北都ちゃんはどういった所で情報を仕入れてるんだろう。
そんな昴流の思考は北都の高笑いで中断させられた。昴流は明るい笑い声に釣られて拍手をする。
暫くのあいだ笑っていた北都が、馬鹿者っこれくらい普通よっ。と勢い良く言った。
昴流はその声に驚き拍手の手が止まる。そして北都の説明を思い出すと改めて北都に確認する。
「じゃあお菓子を持ってないから僕は北都ちゃんにイタズラされるってこと?」
「そういう事になるわね」
不安げな表情になる昴流を尻目に北都はどんなイタズラにしようかと頭をめぐらせ始めた。
自分も楽しめて弟が笑顔になるようなものがないだろうか――と。
Fin
「昴流っ、トリック・オア・トリート!」
元気な声と共に部屋に入ってきたのは昴流の双子の姉・北都だった。
いつもの事だが北都は前触れもなく部屋に入ってくる。
昴流は昨夜は遅くまで仕事をしていて先ほど4時間ほどの睡眠から目覚めたばかり。
祖母の言いつけ通り自分の手を見られないようにするため急いで手袋を身につけた。
そこでようやく先ほどの北都の言葉を思い出そうとして耳慣れない言葉に首を傾げた。
「北都ちゃん。とりっく、おあ……?」
「……!」
昴流の言葉に北都は驚き一瞬固まったのだが直ぐに我に返った。
「昴流っ。それは若者にあるまじきセリフよっ」
ビシッという効果音がつきそうなほど勢いよく言葉を発した。
こういった傍から見ると責めている様にしか見えない行動も北都なりの心遣いだ。
小さい頃から修行に明け暮れていたせいか昴流は世間の話題に疎い。それは仕事の事も含めて仕方ない事だと北都は思っている。
しかし昴流本人の意思は『普通』であることを望んでいるのだ。北都としては愛する弟の意思を大事にしたい。
北都は少しの間、どういう風に説明しようかなと考え、ハードルを目いっぱい下げてみようと思い立った。
とりあえず、ハロウィンは知っているの? と昴流に問うと、聞いたことはある。と言う答えが返ってくる。
「『トリック・オア・トリート』っていうのはハロウィンで使う言葉で『お菓子をくれなきゃイタズラするぞ』って意味なのよ」
「流石北都ちゃん。何でも良く知ってるね」
昴流は北都の説明を聞きながら心底感服していた。いつもの事ながら北都ちゃんはどういった所で情報を仕入れてるんだろう。
そんな昴流の思考は北都の高笑いで中断させられた。昴流は明るい笑い声に釣られて拍手をする。
暫くのあいだ笑っていた北都が、馬鹿者っこれくらい普通よっ。と勢い良く言った。
昴流はその声に驚き拍手の手が止まる。そして北都の説明を思い出すと改めて北都に確認する。
「じゃあお菓子を持ってないから僕は北都ちゃんにイタズラされるってこと?」
「そういう事になるわね」
不安げな表情になる昴流を尻目に北都はどんなイタズラにしようかと頭をめぐらせ始めた。
自分も楽しめて弟が笑顔になるようなものがないだろうか――と。
Fin