White and Black Wing

『ツバサ』の吸血鬼双子と猫LOVE
最近はマイペースに更新中

『X』18.5巻続き9

2017年11月17日 | SS
今朝は寒かった
週末に来る寒気の事を考えるだけでブルーだ
以下ss続き





「庚さん?」

何かの気配を感じた遊人が目にしたのは庚の普段の夢見状態では決してしない弛緩の姿勢であった。
不吉なものを感じて確かめてみると――呼吸も心拍もない。
何が原因か分からないが突如として心臓が止まってしまったようだ。
AEDを持ってくると庚の体に取り付け電気ショックを開始する。
ふと何者かの気配を感じ振り向くと黒スーツにサングラス姿の男が複数いた。
彼らから発せられる雰囲気が人間のものと異なる為、水鏡をつくり視てみると式神である事が分かった。
目的は何だと考える間もなく襲いかかって来た。

「遊人さんっ」

獣の操縦席でこの事を見ていた颯姫は遊人の援護に回るように命令する。
しかし獣は自分から離れて遊人の近くへ行こうとする颯姫を阻むようにケーブルを身体の奥深く入れていく。

「獣、離しなさい」

「ハナサナイ」

突如として獣が反抗を始めた。驚く颯姫の頭の中へ獣の『声』が響く。

「サツキハ ワタシダケノモノ」

獣が軽い電気ショックを与えると颯姫は小さく悲鳴を上げ気を失った。
その間にも遊人は式神を先が三つ又の金属が付いたロープのような武器で倒していく。

式神を倒しながら遊人は何度も庚の名前を呼ぶが庚が反応する事はなかった。
一体の式神が庚に近づくと首に手を伸ばす。

「お前、庚さんに何をする気だ」

三つ又の武器のついたロープで攻撃しようとしたが周りの式神が邪魔で出来ない。
どうしたらいいか頭をめぐらそうとした時、どこからか入り込んだのか子犬が式神に噛みついた。
そのまま庚の首元に降り立つと庚を護るように険しい顔で式神を見渡す。
何だか知らないが助かったと思っていると

「大丈夫ですか?」

という声と共に犬神使いの少女が走って来た。
少女が指笛を鳴らすと子犬は剣に姿を変えて少女の許へ飛んでいく。
剣を掴み取った少女は「犬鬼、一緒に戦おうね」と言うが早いか庚を護るように立つと式神を倒す。
天の龍がどうしてこちらに来てしかも助けてくれるのだろうと遊人が思っていると

「流石に若い子は早いですね」
「そうね」
「お譲ちゃんみな無事か?」

という声と共に草薙が火煉と風使いの男と入って来て辺りを見渡す。
式神と戦っている様子の少女と遊人が目に入るや否や

「これを倒せばいいのでしょうね」
「少し休憩したいところだけど仕方ないわ」
「なに全員でかかればすぐに倒せるさ」

などと言いながら端から倒していく。
頼もしい助っ人達に感謝しつつ遊人もまた式神を倒しにかかる。

*皆で力を合わせて式神を撃退するが庚は既に事切れており助からなかった。
*颯姫は草薙によって獣から助け出された。