山陽新聞社 令和2年5月26日 20時22分
新型コロナウイルスの感染拡大による需要減で、タマネギ農家が苦境に立たされている。
岡山県内最大規模の農業法人・エーアンドエス(笠岡市拓海町)は26日から販売先の見つからないタマネギを畑で廃棄する作業に入った。
「うわー、見ちゃいられんな」。大平貴之社長(44)の顔が思わずゆがんだ。
「うわー、見ちゃいられんな」。大平貴之社長(44)の顔が思わずゆがんだ。
広さ3ヘクタール。見渡す限りのタマネギ畑に大型トラクターが入り、土にすき込んでいく。直径10センチ以上の大玉を巨大なタイヤが踏みしめると「ぐしゃっ」と割れる音が悲鳴のように聞こえた。
JA全農おかやま(岡山市)によると、コロナ禍で外食店の営業自粛が全国に広がったあおりを受け、タマネギの需要が激減。
JA全農おかやま(岡山市)によると、コロナ禍で外食店の営業自粛が全国に広がったあおりを受け、タマネギの需要が激減。
同市中央卸売市場の荷受会社・岡山丸果(同市)では4月の相場が1キロ50円と前年の4割にまで落ち込み、5月は50円を割り込む見通しだ。
エーアンドエスは笠岡湾干拓地の約30ヘクタールで栽培し、年間約1500トンを出荷する。
エーアンドエスは笠岡湾干拓地の約30ヘクタールで栽培し、年間約1500トンを出荷する。
9割が外食などの業務用だけに影響は大きく、一部をスーパーに出荷したり、笠岡市の学校給食やふるさと納税の返礼品に採用してもらったりと販売努力を重ねたが、結局180トン(約900万円相当)を廃棄せざるを得なくなった。
作業は1週間程度続くという。大平社長は「『しょうがない』と頭では分かっていても割り切れない。
作業は1週間程度続くという。大平社長は「『しょうがない』と頭では分かっていても割り切れない。
少量でも売り先がないか、今後も探したい」と話す。