弦楽器を弾く日々

街のヴァイオリン弾きの日常

また弓の話〜少しばかり心境の変化〜

2024-11-09 19:14:00 | ヴァイオリン
中学生で数100万円の弓を買ってもらえるって、投資してくれる協力的親がいるというだけでなかなか恵まれていると思うのですが、本人はどう思っているのかなとふと思う事もあります。もっと良い楽器、もっと良い弓をと思ったりするのかな?と。

私が子どもの頃は、弾ければまあなんでもいいというか、今のようにネットで買えて変なおもちゃのような楽器が蔓延していなかったので、どれでも一定のクオリティは保たれていたし、与えられるがままどれを使っても文句が無く。そこそこ良いフルサイズに替えたのが17歳頃で、先生行きつけの工房で一緒に行って絞った中から自分で一挺選びました。弓は工房の社長にオススメされるがまま購入しました。

私たち世代の他の音大卒に聞くと、地方から来た地主の娘なんかは、工房で「これが良いこれにする」と簡単に600万円クラスの専門外楽器を購入していたなんて話をするので、お金持ちは本当桁外れというか、ランチしましょくらいの感覚でぽんと買うんだなあという感じでしたが、羨ましいっちゃ羨ましいけど嫉妬妬みなどは無く。楽器に不満が出ないタイプだったし自分の楽器が好きだったので気になりませんでしたが、私が通っていた大学の子たちは人の楽器の値段を気にする子たちだったので、まあ一般的には皆気にして不満を抱きながらやってるのかなあ。

以前、めちゃくちゃ音色の良いチェリストがいて、こちらとしては腕があるからその音色が出せるのは前提の上でどこ製か気になったんですが、ちょっと捻くれた捉え方をされて気まずかったことがあって。聞き方が簡潔で悪かったかもしれないけど、もっと純粋に会話がしたい私は。

そんな私も数年前からやっと自分の楽器や弓に限界を抱き、というか特色を把握したってことなんですが、それでも腕のせいだからとなんとかしてやるともがいて、音のクオリティの限界を感じつつ、師からもその弓あんまりと言われ、一時期頭の中は弓弓弓で占めてたんですけど、ここ最近またスッと熱が冷めてきまして。
たまに、これ!という音が出ると、限界は超えなくても現状で十分じゃない?別に私ごときがツール変えたところで。バリバリ弾く将来有望な中高生ならまだわかるわと思い始めまして。

海外でも通用するようなレベルの子たちは未来があるし相応の楽器を使えばいいけど、私には未来無いじゃんと。ダラダラ好きな事する未来、もしくは楽器辞めてる未来はあるかもしれないけど、ヴァイオリンで大成はもうしないわけじゃないですか。自分の能力は伸ばせるしコツコツやればいいのだけど、その程度の日々でツール買い足すのもなんだかなと。めっっっちゃくちゃお金持ちならそんなの気にせず既に買ってますが。
今の弓売って足しにすればと言われたりしますが、今の弓は弓で気に入ってるんです。1人で弾く分には申し分無い。コンチェルトや真逆のタイプの音色の人たちと室内楽となるとキツい。それだけの事なので、そこは目的によって自分で人を選べばいいというか。別にクオリティ目指さない不特定多数遊びの会とかだと私は数万円の楽器と弓でも不満無いですし。

てな感じで今少しばかり冷静になってきました。
私の現実考えれば楽器より投資か貯蓄しなきゃいけないかもしれないな。


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