▶血糖コントロール入院七日目
昨夜は21時半頃ウトウトし始め、そのまま寝てしまった。
睡眠前の血糖値を計った後、なんか疲れたんだよね。
すこーんと落ちた。
そのまま朝まですやすやと言いたかったが、残念ながら睡眠は破られる。
向かいのおばさんによって。
えらく荒い呼吸が繰り返され、ひどい喘ぎや咳が断続的に続く。
え、これなに?
完全に目が覚めたところで、看護師さんがやってくる。
「○○さーん、大丈夫?」
いやいやいや。
どう見てもやばい。
絶対やばい。
酸素濃度低めの呼吸よ、それ?
どうりで昼間っから咳ばっかりしてると思ってた。
彼女は透析患者で、恐らく糖尿病。
それ以外も色々ありそうな感じ。
日曜日の看護師さんは二人だけだから、本当に手が空いてない。
え、こわい。
なにこの恐怖。
おばさん、死んじゃうよ!
暗闇の中、息を潜めて、様子を窺う。
看護師さんは出たり入ったり。
特に焦っている様子はないが、熱や血圧、胸の音を調べているようだ。
そして二時間ほど経って、何かしらの機械がセッティングされ、心臓?肺?の状態をチェックしていた。
「うん、きれいやね。」
「○○さん、もっかい血圧測るね〜」
「酸素吸入するよー」
明るくはっきりとした声。
それに反して、おばさんは弱々しい。
ただ酸素吸入してからしばらく、あの荒々しい息は鳴りを潜めたように思う。
ホッとする私。
これでまた眠れるだろうと思ったが、そうは問屋がおろさない。
一時間もしないうちに、また苦しそうな呼吸が聞こえてきて、私はもうとにかくトイレに逃げ込んだ。
あんな苦しい声、聞きたくない。
父の危篤の時を思い出す。
くそっ!!!
ちゃんと処置室に先生呼んで、なんとかしてよ!
日曜日に医者を呼び出すのは余程の事態なのだろう。
看護師さん達はもちろんその道のプロ。
動じたりしない。
私だけが焦っているのだ。
またしても時間が過ぎ、空が白み始めた頃、○○さんの意識レベルがグンと落ちた。
さすがに焦る看護師。
もう一人も呼ばれる。
何度か声をかけ、何かしらの処置をした後、微かに戻る意識。
これは間違いなく緊急事態なのでは?
お医者様呼んでよ!
ぞっとする対応の中、それでも看護師さんたちは明るく、○○さんの意識があやふやなことに焦りを感じた様子はなかった。
これがプロなのか
すごいな
「もう少ししたら、先生来てくれるからねーー。大丈夫。」
"もう少し……………"
果たしてもう少しとは一体どのくらいの時間を指すのか。
私は30分と予測した。
しかし現実は違う。
1時間半後の8時半。
担当医はやっときた。
うーーーーん。
こんなもんなのか。
担当医もまたゆったりとした物腰で、相手の様子を診る。
「またこーなっちゃったね。でも透析したら元気になるからねー。」
と、以前にもこういう状態になったらしいおばさんへと話しかける。
おばさんもお医者様が来たことで少し落ち着いたらしい。
呼吸がほんの少しだけ楽になったように見えた。
九時すぎ。
寝不足の私は結局、ベッドに横たわったままのおばさんが透析へと出ていくのを見送り、バタンと倒れるように寝た。
ほんの30分ほど。
腎臓の病、恐るべし。
これはある意味反面教師である。
大事じゃない臓器なんかありはしないが、腎臓は特に大切にしないとだめだ。
痛感した。
その後、昼過ぎにおばさんは人工透析から戻ってきた。
呼吸は多少荒く、咳もしているが、さっきより100倍マシだ。
すごくホッとする。
しかしながらそのままの足で、別の個室へと転室。
私達の部屋からあっさりいなくなってしまった。
いつも電話口で悪態を吐いていたおばさん。
担当医にもしっかり文句をいうおばさん。
なんか………なんかなぁ。
今月半ばに退院する予定だったのにね。
とてもじゃないけど、難しそう。
ここが病院であることを再認識させられた一日でした。
なんやかんや言いながらも、私、がん患者だった。
ついつい忘れてしまうね。
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