何てこったい!・「恋人はワイン色」(第3話)フィクション
圭司は、愛用のニコン一眼レフのフィルター越しにワイングラスにピントを合わせながら3年前のセレモニーを思い出していた。
あれは3年前、この店のオープンセレモニーの撮影を雅夫に頼まれた時のことだった。
雅夫は、幼馴染で父親のフランス料理店をもっとカジュアルにしようと店を父親から任されたのを切っ掛けにして、ワインとカジュアルなフレンチのお店にリニューアルした時のイベントカメラマンを幼馴染のよしみで快く引き受けたのが人生の新たな出会いの場面になったのだ。
雅夫からは、友人代表としてのパーティー出席も兼ねていたので、それなりに貸衣装で借りたヘチマ襟のチャコールグレーのタキシードに身を包んでいた。
タキシードを着るのは、生まれて初めてだったが、主賓や来客に気を遣って、色調は抑え気味にしたのだった。
蝶ネクタイは、どうにもお笑い芸人のように見えるので、棒タイに真珠のピンを付けることで、フォーマル感を出した。
正確には、衣装合わせでコーディネートもお任せで借りたというのが正しい。
圭司は、駆け出しのプロカメラマンと言ってもファッション雑誌などと専属契約をしている訳でもなくフリーのカメラマンでしかなった。
主にレストランのメニューをより引き立てる宣材写真やら結婚式のカメラマンをプロの有名な先輩カメラマンからのおこぼれを廻して貰ってギリギリ生計を立てているのが現状だった。
腕には自信があった。
チャンスが無かっただけ。
この世界では、人脈とチャンスが無いと世に出ることは難しい世界だと言う事を十分なほど思い知らされていた。
幼馴染の店はフランス料理の有名店。
子供の頃、お父さんとも野球をして遊んでもらっていた気さくで、豪快に笑う紳士で圭司は、オシャレな姿に自分の父親を重ね合せて、嫉妬したこともあった。
その元気そうだった雅夫の父親が倒れた。
通夜の夜に参列して驚いたのは、政財界や芸能人に多数のテレビや映画で見覚えのある面々が弔問に訪れていたからだった。
元々、このフランス料理店は知る人ぞ知る名店だったようで、星を獲得していたことも通夜の日に知った。
そんなことを感じさせないフレンドリーな親子だった。
雅夫も実際にフランスで修行して、父親から叩き込まれたシェフだというが、彼に対して恵まれた環境にチンケな妬みもあったから雅夫の作る料理を招かれても口実を作って断り続けていたから噂話でしか知らなかった。
それでも雅夫は、圭司にオープンのカメラマンを依頼してくれる気の優しい男だ。
オープンパーティーは、圭司の予想を良い意味で裏切っていた。
圭司は、自分の想像が凄く狭い世界の人間だということを思い知らされた瞬間でもあった。
全てを自分のモノサシで測っていたのかも知れない。
料理を作るその腕と味に惚れたお客さんが、店に足を運ぶ。
たまたまその客が、著名人で政財界や芸能界でも噂になっていたのだった。
圭司は、芸能人や著名人が来る店を引き継ぐ雅夫に嫉妬したことを心の中で恥じた。
自分なら間違いなく、そのままの客を親から店ごと引き継いだに違いないと思ったからだ。
雅夫は、オーナーシェフが自分に替ったことで、看板や星に頼るのを潔く捨ててしまった。
それを聞いた時には、さすがにもったいないと言ってしまった自分が情けなかった。
雅夫のプライドが、そうさせたのだった。
恵まれた環境とかよりも親父の重圧もあったと思うが、親父の料理じゃなく、自分の料理を食べてくれるお客さんで席を埋めたいとの強い意志と親父との最後に交わした約束だったことを通夜の日にお母さんから聞かされた。
タキシードを無理してでも借りてきて良かったと胸を撫で下ろしながらムービーのファインダーを覗いていた。
華やかすぎるほどの色鮮やかな花で店内は飾られていた。
有名な華道家の手によるものであることは、来賓の歓声からも分かっていたが、その造形よりも生花の瑞々しさは、ファインダー越しでも息を呑む。
圭司は、カスミ草が好きだった。
薔薇の引き立て役のような小さな花も薔薇の何十倍ものカスミ草が脇を演出することで、更に真紅を鮮やかな色に演出させているのだ。
プロのカメラマンとして色調のバランスには拘りがあるのだ。
来賓のスピーチに談笑やパーティーの祝賀ムードを編集することを念頭に置きカメラワークを計算しながらの撮影だった。
飾り付けられた真紅の薔薇の間の空間を利用して、ズームした時に圭司の指先は止まってしまった。
真紅の薔薇が、カスミ草に見えた。
フィルターには、薔薇より美しい君がいた。
真っ白なパーティードレスに身を包んだ長い黒髪のスレンダーな曲線美。
ゴクリと喉が鳴るのをカメラの音声が拾ったのではと思うほどの息を呑む音。
その可憐な身のこなしをレンズで追っていた。
追わずにはいられなかった。
無意識に彼女にピントを合わせて、そのしなやかに流れるようなウォーキングにも魅せられていた。
あの有名な女優でモデルだ。
彼女が主役のドラマは、録画してでも観ている。
先輩の雑誌の撮影に彼女を生で見たいがためにアシスタントをお願いしたこともあった。
その直後に俳優との婚約記者会見で、輝く指輪を薬指にはめていたニュースを羨望の眼差しで観ていた。
その憧れの彼女をファインダーの中に閉じ込めていることに興奮し、独り占めしているような錯覚を覚えていた。
白いドレスに赤いワインが更に彼女を引き立てている。
背中が、腰の辺りまでカットされている大胆なドレスも彼女が身に纏えばストレートに長い黒髪が、淫靡さをエレガントに演出され計算されているかのように見える。
圭司は、後姿の彼女を赤いピンヒールの踵から徐々にアップさせて背中から首筋にレンズを這わせた。
その時、彼女は振り向き見つめ返した。
圭司は、一瞬の罪悪感に包まれていた。
レンズで、舐めるように彼女を捉えていたことが見透かされたと思ったからだ。
実際には、そんなことはあり得ないのだが・・・。
彼女は、プロの女優でモデルだから、きっとカメラの位置を予め確認して美しく撮られることを本能的に認識しているのだ。
しかし、カメラマンとして、何度かモデルの撮影もしたことがあるが、この距離でレンズの奥の視線の瞳を貫かれたのは初めてだった。
彼女は、他の来賓客からの視線を身に纏いながらドンドン近づいてくる。
白いドレスに真っ赤なピンヒールで床を歩く姿は、まさにファッションショーのランウェイだった。
ファインダーから覗く薔薇が小刻みに揺れる。
圭司は、後悔していた。
こんなに政財会や著名人が集まるパーティーにハンディカメラに毛の生えた程度の資機材で撮影に臨んでいる自分にチャンスを掴めない要因がそこにあるんだと後悔していたのだ。
それに個人的な興味本位のカメラワークに手振れ。
最悪だった。
一瞬、思考がファインダーから逸れた。
失格だ、プロとても友人代表としても男としても・・・。
「御疲れさま、どうぞ。」
耳元で囁きが聞こえた。
全身に電流が走ったような衝撃を受けた。
咄嗟にカメラと共に囁きのあった方向に身を翻した途端に悲鳴にも似た来賓客の罵声が響いた。
彼女が、私に差し出したワイングラスをカメラで払ってしまったのだ。
純白のドレスは、真紅に染まった。
同時に絶句した圭司の頭の中は、真っ白になった。
周りからタオルやナプキンを持ち寄り慌てるスタッフを異次元の世界のように遠くの景色を見る目で立ち竦むしかなかった。
「いらないわ。」
彼女は、その場でクルリと回転してドレスの裾を翻して笑った。
「ありきたりのドレスより、こっちの方が素敵。」
戸惑いながらも来賓からの拍手が徐々に歓声へと変わった。
近くで見ると肌の白さは、陶器のようでテレビ画面の中の彼女だった。
ドレスを素敵にしてくれてありがとうと微笑む女優は、ハプニングにも動じないで演出であったかのように振る舞って魅せた。
雅夫は、気遣ってか少し飲もうとひとしきり撮影を終えたカメラを置いてワインを飲んで来賓として改めて迎え入れて、著名人に次々と紹介してくれる。
その時、赤と白のドレスに変貌してしまった女優が、両手にワイングラスを持って立っていた。
「さぁ、改めてどうぞ。」
差し出したワインを一気に乾いた喉に流し込む。
それを見て高笑いする女優は、全ての仕草が演技のように見えた。
ただ、先ほどよりもかなりワインを飲んだのか、頬がローズワインのように染まり、瞳の潤いが艶美さを更に演出している。
ひたすら謝りながらワインをガブ飲みして、今日の出来事を忘れたかった。
記憶の中から排除すべく、酒の力で記憶を洗い流すしかなかった。
そして、酔いに任せて、女優とダンスをしていた。
酔いのせいでもあったし、早く酔いが回るようにダンスの相手をする。
いつからこんなに強心になったのか、酒で流してしまいたい今夜のパーティー。
女優は、周りに気付かれないように見渡してから、赤いルージュの輝く唇に人差し指を立ててウィンクした。
内緒の合図のようにも見えたが、酔っぱらっていて焦点が合わない。
女優は、耳元で囁いた。
「裏に来て、誰にも見られずに・・。」
パーティーは、終焉に近づいていたが、酒に酔っていたのか、この女優が誘っているのかさえ曖昧なほどの泥酔状態だった。
車を待たせていた。
後部座席のドアを開けて座っているドレスの裾が割れて白く長い脚が圭司を惹きつけていった。
・・・つづく。
※これは、恋人はワイン色♪、LOVE AFFAIR♪とは内容は無関係です。
フィクションですので、ご了承ください。
圭司は、愛用のニコン一眼レフのフィルター越しにワイングラスにピントを合わせながら3年前のセレモニーを思い出していた。
あれは3年前、この店のオープンセレモニーの撮影を雅夫に頼まれた時のことだった。
雅夫は、幼馴染で父親のフランス料理店をもっとカジュアルにしようと店を父親から任されたのを切っ掛けにして、ワインとカジュアルなフレンチのお店にリニューアルした時のイベントカメラマンを幼馴染のよしみで快く引き受けたのが人生の新たな出会いの場面になったのだ。
雅夫からは、友人代表としてのパーティー出席も兼ねていたので、それなりに貸衣装で借りたヘチマ襟のチャコールグレーのタキシードに身を包んでいた。
タキシードを着るのは、生まれて初めてだったが、主賓や来客に気を遣って、色調は抑え気味にしたのだった。
蝶ネクタイは、どうにもお笑い芸人のように見えるので、棒タイに真珠のピンを付けることで、フォーマル感を出した。
正確には、衣装合わせでコーディネートもお任せで借りたというのが正しい。
圭司は、駆け出しのプロカメラマンと言ってもファッション雑誌などと専属契約をしている訳でもなくフリーのカメラマンでしかなった。
主にレストランのメニューをより引き立てる宣材写真やら結婚式のカメラマンをプロの有名な先輩カメラマンからのおこぼれを廻して貰ってギリギリ生計を立てているのが現状だった。
腕には自信があった。
チャンスが無かっただけ。
この世界では、人脈とチャンスが無いと世に出ることは難しい世界だと言う事を十分なほど思い知らされていた。
幼馴染の店はフランス料理の有名店。
子供の頃、お父さんとも野球をして遊んでもらっていた気さくで、豪快に笑う紳士で圭司は、オシャレな姿に自分の父親を重ね合せて、嫉妬したこともあった。
その元気そうだった雅夫の父親が倒れた。
通夜の夜に参列して驚いたのは、政財界や芸能人に多数のテレビや映画で見覚えのある面々が弔問に訪れていたからだった。
元々、このフランス料理店は知る人ぞ知る名店だったようで、星を獲得していたことも通夜の日に知った。
そんなことを感じさせないフレンドリーな親子だった。
雅夫も実際にフランスで修行して、父親から叩き込まれたシェフだというが、彼に対して恵まれた環境にチンケな妬みもあったから雅夫の作る料理を招かれても口実を作って断り続けていたから噂話でしか知らなかった。
それでも雅夫は、圭司にオープンのカメラマンを依頼してくれる気の優しい男だ。
オープンパーティーは、圭司の予想を良い意味で裏切っていた。
圭司は、自分の想像が凄く狭い世界の人間だということを思い知らされた瞬間でもあった。
全てを自分のモノサシで測っていたのかも知れない。
料理を作るその腕と味に惚れたお客さんが、店に足を運ぶ。
たまたまその客が、著名人で政財界や芸能界でも噂になっていたのだった。
圭司は、芸能人や著名人が来る店を引き継ぐ雅夫に嫉妬したことを心の中で恥じた。
自分なら間違いなく、そのままの客を親から店ごと引き継いだに違いないと思ったからだ。
雅夫は、オーナーシェフが自分に替ったことで、看板や星に頼るのを潔く捨ててしまった。
それを聞いた時には、さすがにもったいないと言ってしまった自分が情けなかった。
雅夫のプライドが、そうさせたのだった。
恵まれた環境とかよりも親父の重圧もあったと思うが、親父の料理じゃなく、自分の料理を食べてくれるお客さんで席を埋めたいとの強い意志と親父との最後に交わした約束だったことを通夜の日にお母さんから聞かされた。
タキシードを無理してでも借りてきて良かったと胸を撫で下ろしながらムービーのファインダーを覗いていた。
華やかすぎるほどの色鮮やかな花で店内は飾られていた。
有名な華道家の手によるものであることは、来賓の歓声からも分かっていたが、その造形よりも生花の瑞々しさは、ファインダー越しでも息を呑む。
圭司は、カスミ草が好きだった。
薔薇の引き立て役のような小さな花も薔薇の何十倍ものカスミ草が脇を演出することで、更に真紅を鮮やかな色に演出させているのだ。
プロのカメラマンとして色調のバランスには拘りがあるのだ。
来賓のスピーチに談笑やパーティーの祝賀ムードを編集することを念頭に置きカメラワークを計算しながらの撮影だった。
飾り付けられた真紅の薔薇の間の空間を利用して、ズームした時に圭司の指先は止まってしまった。
真紅の薔薇が、カスミ草に見えた。
フィルターには、薔薇より美しい君がいた。
真っ白なパーティードレスに身を包んだ長い黒髪のスレンダーな曲線美。
ゴクリと喉が鳴るのをカメラの音声が拾ったのではと思うほどの息を呑む音。
その可憐な身のこなしをレンズで追っていた。
追わずにはいられなかった。
無意識に彼女にピントを合わせて、そのしなやかに流れるようなウォーキングにも魅せられていた。
あの有名な女優でモデルだ。
彼女が主役のドラマは、録画してでも観ている。
先輩の雑誌の撮影に彼女を生で見たいがためにアシスタントをお願いしたこともあった。
その直後に俳優との婚約記者会見で、輝く指輪を薬指にはめていたニュースを羨望の眼差しで観ていた。
その憧れの彼女をファインダーの中に閉じ込めていることに興奮し、独り占めしているような錯覚を覚えていた。
白いドレスに赤いワインが更に彼女を引き立てている。
背中が、腰の辺りまでカットされている大胆なドレスも彼女が身に纏えばストレートに長い黒髪が、淫靡さをエレガントに演出され計算されているかのように見える。
圭司は、後姿の彼女を赤いピンヒールの踵から徐々にアップさせて背中から首筋にレンズを這わせた。
その時、彼女は振り向き見つめ返した。
圭司は、一瞬の罪悪感に包まれていた。
レンズで、舐めるように彼女を捉えていたことが見透かされたと思ったからだ。
実際には、そんなことはあり得ないのだが・・・。
彼女は、プロの女優でモデルだから、きっとカメラの位置を予め確認して美しく撮られることを本能的に認識しているのだ。
しかし、カメラマンとして、何度かモデルの撮影もしたことがあるが、この距離でレンズの奥の視線の瞳を貫かれたのは初めてだった。
彼女は、他の来賓客からの視線を身に纏いながらドンドン近づいてくる。
白いドレスに真っ赤なピンヒールで床を歩く姿は、まさにファッションショーのランウェイだった。
ファインダーから覗く薔薇が小刻みに揺れる。
圭司は、後悔していた。
こんなに政財会や著名人が集まるパーティーにハンディカメラに毛の生えた程度の資機材で撮影に臨んでいる自分にチャンスを掴めない要因がそこにあるんだと後悔していたのだ。
それに個人的な興味本位のカメラワークに手振れ。
最悪だった。
一瞬、思考がファインダーから逸れた。
失格だ、プロとても友人代表としても男としても・・・。
「御疲れさま、どうぞ。」
耳元で囁きが聞こえた。
全身に電流が走ったような衝撃を受けた。
咄嗟にカメラと共に囁きのあった方向に身を翻した途端に悲鳴にも似た来賓客の罵声が響いた。
彼女が、私に差し出したワイングラスをカメラで払ってしまったのだ。
純白のドレスは、真紅に染まった。
同時に絶句した圭司の頭の中は、真っ白になった。
周りからタオルやナプキンを持ち寄り慌てるスタッフを異次元の世界のように遠くの景色を見る目で立ち竦むしかなかった。
「いらないわ。」
彼女は、その場でクルリと回転してドレスの裾を翻して笑った。
「ありきたりのドレスより、こっちの方が素敵。」
戸惑いながらも来賓からの拍手が徐々に歓声へと変わった。
近くで見ると肌の白さは、陶器のようでテレビ画面の中の彼女だった。
ドレスを素敵にしてくれてありがとうと微笑む女優は、ハプニングにも動じないで演出であったかのように振る舞って魅せた。
雅夫は、気遣ってか少し飲もうとひとしきり撮影を終えたカメラを置いてワインを飲んで来賓として改めて迎え入れて、著名人に次々と紹介してくれる。
その時、赤と白のドレスに変貌してしまった女優が、両手にワイングラスを持って立っていた。
「さぁ、改めてどうぞ。」
差し出したワインを一気に乾いた喉に流し込む。
それを見て高笑いする女優は、全ての仕草が演技のように見えた。
ただ、先ほどよりもかなりワインを飲んだのか、頬がローズワインのように染まり、瞳の潤いが艶美さを更に演出している。
ひたすら謝りながらワインをガブ飲みして、今日の出来事を忘れたかった。
記憶の中から排除すべく、酒の力で記憶を洗い流すしかなかった。
そして、酔いに任せて、女優とダンスをしていた。
酔いのせいでもあったし、早く酔いが回るようにダンスの相手をする。
いつからこんなに強心になったのか、酒で流してしまいたい今夜のパーティー。
女優は、周りに気付かれないように見渡してから、赤いルージュの輝く唇に人差し指を立ててウィンクした。
内緒の合図のようにも見えたが、酔っぱらっていて焦点が合わない。
女優は、耳元で囁いた。
「裏に来て、誰にも見られずに・・。」
パーティーは、終焉に近づいていたが、酒に酔っていたのか、この女優が誘っているのかさえ曖昧なほどの泥酔状態だった。
車を待たせていた。
後部座席のドアを開けて座っているドレスの裾が割れて白く長い脚が圭司を惹きつけていった。
・・・つづく。
※これは、恋人はワイン色♪、LOVE AFFAIR♪とは内容は無関係です。
フィクションですので、ご了承ください。